同社では震災以降、得た教訓をもとにいくつもの施策を推し進めてきた。ひとつは、重要エリアにおける大ゾーン方式基地局の設置。これは半径7kmをカバーするもので、全国104か所への設置を完了している。
またバッテリーの24時間化、エンジンによる無停電化も実施。ちなみに先の震災時には、被災してから24時間以内に電気が復旧する地域も多かった。このほか通信が行き届かないで孤立化する避難所に情報を伝えるため、衛星システムを配置するとともに、車載型移動基地局車やリュックで背負えるタイプの「小型軽量マイクロエントランス」も配備した。丸山氏は「衛星システムの回線は細いが、初動に利用できる」と用途を説明している。
エリアメールのさらなる活用も進める。気象庁や自治体が発信した情報は、NTTドコモのインフラに乗って指定したエリアに一斉配信される仕組み。回線の混雑状況に影響を受けないという利点がある。2012年2月から津波情報にも対応した。国・地方公共団体が配信する「災害・避難情報」の受信が可能となるエリアメールは、現在約89%の自治体に利用されている。
2012年3月からは、災害用音声お届けサービスの提供も開始。これは災害により音声がつながりにくいときでも、電話番号さえ分かればデータ化した音声を届けることができるというもの。