無料で利用できるらしいけど、収益モデルは?

Spotifyは前述のように広告とサブスクリプションの2種類の収益源を確保している。データによれば、昨年時点で2500万人いるアクティブユーザーのうち2~3割程度が有料サブスクリプション契約者とのことで、ここでまず収益を確保している。また曲の合間に挿入される広告も大事な収益源の1つで、これらを合わせて売上としている。

Spotify創業者兼CEOのDaniel Ek氏。2012年5月に米ルイジアナ州ニューオーリンズで開催されたCTIA 2012にて。以下はCTIAでのプレゼンテーション

Spotifyの思想には「利用のハードルを下げることで収益機会を増やし、少しでもアーティストに還元していく」というものがある。例えば音楽利用のハードルが高ければ高いほど海賊行為に走る傾向があるというが、これを少し下げることで少しでも正規にお金を払う(もしくは無料の対価として広告を視聴する)ユーザーが増え、そのぶん楽曲利用料をアーティストに支払うようになるという。実際、一部市場ではSpotifyの売上比率が既存の音楽流通を上回るケースが出ており、音楽業界にとっても見過ごせない状況にある。

手軽に利用できる利便性と、アーティスト支援を念頭に置いたビジネスモデルが特徴のSpotify。結果として斜陽だった音楽売上が伸び、海賊行為が減ったという

もともとSpotifyはスウェーデン生まれの欧州育ちだが、このとき(2012年)は2011年にローンチされたばかりの北米でのサービスが話題だった

Spotifyの特徴の1つはサードパーティの再生クライアントが複数用意されていること。そしてWebサイト開発者は埋め込みリンクにより「Spotify Play Button」をページ上に出現させることができ、ユーザーは指定の曲をSpotifyを通して聴くことが可能