――原作と脚本を読んだ時のイメージで違いはありますか。
原作は海外の話なので、外国人の役だと思ってそれはさすがにできないなと(笑)。今回のお話をいただいてから、原作を拝読したんですが、かわいくてかっこいいキャラクターが登場しますし、物語としてもハラハラドキドキや感動もありますし、どんどん引き込まれてすぐにファンになってしまいました。今回の映画は、原作のファンタジーの要素を少し残しながら、清玄の人間的な部分だったりとかをすごくリアルに描いていると思います。
――原作の中で好きなキャラクターは?
もちろん、セバスチャン、シエルは好きですけど、死神のグレルも意外と好きなんですよ。あのキャラクターは結構人気なんですよね? メイリンも好きだなぁ。でも、みんな個性的ですよね。
――昨年12月のイベントでは、水嶋さんを「お父さんのように温かい」とおっしゃっていましたが、具体的なエピソードがあればお聞かせください。
(山本)美月ちゃんとじゃれ合いながら遊んでいた時に、ほほ笑みながら温かく見守ってくださっていたので、美月ちゃんとお父さんみたいだねって話になって(笑)。そんなに口数が多い方ではないんですけど、撮影がはじまったばかりの頃にすごく話しかけてくださって。私、家族の話になると止まらなくなるんですけど、そんな話も「うんうん」って(笑)。その光景も、どっしりしている方だなと。年齢もすごく上に感じるんですが、近寄りがたいとかそんな感じはなくて、あたたかくて全部包み込んでくれる感じがより一層お父さんらしさを(笑)。男女関係なく、さりげない気配りがすごいんですよ。
――以前のイベントで、「執事が苦手」とおっしゃっていました。尽くすほうが好きということなのでしょうか。
尽くすのも嫌いじゃないんですよね。自分のことは自分でやりたくなっちゃうというのもありますし…大丈夫! 大丈夫! みたいになっちゃう気がするんです(笑)。でも、セバスチャンくらい先回りして主人のことを考えてくれる人だったら逆に気持ちいいのかなとも思いつつ、こっちも先回りして考えたくなっちゃうのかなと。清玄としては、すごく気持ちよかったですけどね! 立っていればドアを開けてくれますし、おいしいご飯も準備してくれていますし。あんな生活いいなと思いますけど、剛力彩芽としてはなかなか(笑)。一緒に料理をやってくれる執事とかだったらいいなと思います。
――人気の原作を映像化する場合は賛否両論が付き物ですが、どのような気持ちでクランクインされたのでしょうか。
私は、原作ありきの実写化に出演させていただくことが多くて、やっぱり原作ファンが納得してくださるか不安もすごくあるんですけど、実際に人が動いて伝わることも必ずあると思いますし、今回は男装することによって、女性が男性になることを選んだ気持ちは少なからず伝えられるんじゃないかなと。私がそこをまず理解しないと、見てくださる方にとっては男装の麗人の意味が伝わらないと思います。元となったシエルというキャラクターとは別の“人間”としての気持ちを伝えられればいいなと思って挑みました。もちろん、不安は消えないですけど。
――続編の可能性は?
実際に清玄は復讐を遂げられるのか、今後どうなるのかなというのはありますが…ただ、セバスチャンと清玄の関係はとても残酷で。目的を果たしたら、セバスチャンは清玄の魂を奪ってしまうので、それを考えると寂しいなというのもあるんですよ(笑)。黒幕が一体誰なのか、清玄としては知りたいところでしょうね。続編があったら、私もうれしいですけど(笑)。
――水嶋ヒロさんはスタッフとしてもこの作品に参加していますが、現場ではどのような様子でしたか。
現場では役者としての水嶋ヒロさんしか見ていなくて。ストーリーを作っているとか、前からニュースで知っていましたけど、共同プロデューサーとして参加していたこととか、舞台あいさつなどで今知ることの方が多いです。現場の雰囲気を大事にされる方で、そういう部分では人としても役者としても本当にすばらしい方だなと思いました。下から土台を支えているような方でしたので、そういう部分ではスタッフ側としての気遣いもあったんじゃないかと思います。
ただ、1つだけ言うと…私、親友と共演してるんですね。ずっと芸能界を目指しているARISAという子がいて、彼女と共演するのが夢というのをある番組で話したんですが、水嶋さんがたまたまそれを見てくださったみたいで。それで、ぜひと提案してくださったんです。振り返ると、それはプロデューサーとしての1つの顔だったのかなと思います。すごく、うれしかったです。
――3年ほど前に剛力さんと会って以来、いい意味で印象が変わらないのですが、その秘訣はなんだと思いますか。
なんだろう…でも、いまだにこの仕事が仕事だと思ってないんですよ。当時は学生だったので、バイトじゃないですけどやっぱり学業優先。いまだに、仕事が好きというよりかは、好きなことを仕事でやらせてもらっているという感覚なんですよね。そんな憧れの仕事でもありますし、夢のような毎日を過ごさせてもらっています。
――好きなことでも精神的につらいこととかありますよね。それを帳消しにするくらい好きということなのでしょうか。
やっぱり好きだなって思いますね(笑)。あとは大人になっても、いい意味でバカでいたいなって思ってるんですよ。もちろん、大人としての一般常識であったり、マナーであったりというのはわきまえつつも、楽しい時に楽しめて、騒ぎたい時に騒げる大人ってカッコイイなと思います。いい意味で子どもでいたい。そういう感情は忘れたくないですね。
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