AKG Q701

AKG特有のテンションで頭を支えるヘッドバンドが特徴のヘッドホン。ワイヤーによるテンションをつかったアジャスター機能のおかげで、いちいち調節しなくとも頭に即座にフィットする、デザイン的に見ても"萌え"な機構であります。

音はクリアで繊細、基本的にフラットで完成度が高いです。低音が気持ちすっきりしていますが、聞き疲れがないのはメリットとも言えます。音も"スルメ"に感じるものが多いので、いままで聞き慣れた曲をこのQ701で聞くと、新しい発見があるかもしれません。オーケストラを聴いた時には、各パートがどんな動きをしているかがわかるのはもちろん、楽器の前後左右の配置もわかるので今回のヘッドホンのなかではぶっちぎりの一番です。ジャズも音の芯が力強く情熱的で、最も感動できるヘッドホンだと思います。その一方、メタルは聞こえすぎてしまうがゆえにジャキジャキした感じが気になったので評価が低くなりました。

前機種の「K701」と大きく異なるのは、ヘッドバンド部分の黄緑色のステッチと、「Quincy Jones」の文字。素敵なステッチとケーブルは同色なんです。本体はプラスチック素材ですが安っぽさはなく、ケーブルも取り外し可能。大きなイヤーカップは無骨な印象ですが、エレガントなシルエットのおかげで、女の子がつけても圧迫感を与えません。ヘッドバンド部は本革。AKGファンから大好評の大型イヤーパッドはベロア調でふわふわで、疲れにくいです。全体的に丈夫そうで、高級感があり、末永く愛していきたいヘッドホンのひとつです。

なお、「萌えるヘッドホン読本2013」では、ここで紹介したような機種レビューのほか、「ナムコサウンズ9名によるヘッドホン座談会」や、「鈴木Daichi秀行 ヘッドホンインタビュー」など、サウンドクリエイターの声も収録しています。Web通販ストア(とらのあな/メロンブックス)にて取り扱っていますので、ご興味をもたれた方は、ぜひ一度読んでみてください。

月神るな
漫画家/イラストレーター。「あるてぃめっとエチュード」(芳文社まんがタイムきららカリノ)などの漫画のほか、集英社SD文庫「くずばこに箒星」シリーズなどのイラストレーションを担当。ワニマガジンではデザインワークに参加。ヘッドホンを多数所有するなどオーディオ機器への造形も深く、ヘッドホンに関する自費出版物を複数刊行。今回の特集は「萌えるヘッドホン読本」2013年版からの抜粋で、すべて同氏所有の機種をレビューしている。