プラットフォームを自社で囲い込む傾向のあるAppleならば、おそらくウェアラブル製品についても同様のアイデアを持ち込んでくる可能性が高い。Google Glassの場合はたまたま現在の連携先の対応デバイスがAndroidなだけで、おそらくインターネット回線に接続する手段にはこだわっていない。むしろGoogleがインターネット上に用意する各種サービスをいかに活用してもらうかを重視している。このあたりが企業特性の差だろう。
筆者の予想ではあるが、IT各社がウェアラブル製品に熱い視線を注いでいる理由の1つは「スマートフォン普及率が飽和に近付いている」現象とは無縁ではないと思われる。スマートフォンに関して、性能やユーザーインターフェイスも一段落しつつあり、ここ1~2年での変化がそれほどドラスティックではないと感じているユーザーも多いだろう。おそらくは、今後数年はスマートフォンを買い換えるサイクルが長くなる傾向が強くなり、今後AppleとSamsungのトップ2社を含む各社の製品売上は成長率が落ち着き、場合によっては横ばいにさえなる可能性がある。
次なる一手はデバイスそのものを"ファット"にするのではなく、センサーやインターフェイスなどを外部へと引き出し、拡張していくウェアラブル活用の時代になる可能性が高い。スマートフォンそのものの売上だけでなく、ウェアラブル製品を追加アクセサリとしてリリースし、これを新たな収益源とするのだ。そのための新しいサービス提案やインフラ整備も必要になるだろう。
AppleがiPhone 5sとともに64ビットの「A7」プロセッサを発表したとき、「M7」というコプロセッサも発表されたことが話題となった(中身は小型制御機器向けのARM Cortex-M3といわれている)。通常であれば、M7程度の回路が実現する機能はダイサイズ的にも小さいため、A7に組み込んでしまいわざわざ別の半導体チップを起こす必要がない。だがあえてM7を用意したということは、「AppleがこれからM7を使った製品を大量リリースする」計画があることを意味している。その意味で、来年以降のAppleは非常に面白いものを見せてくるかもしれない。少し前の話だが、こんなニュースが話題になったし、つい最近ではこんな話もある。楽しみにしておくといいだろう。