手のひらに乗るような超小型サイズのPCキット「NUC」。2012年11月の登場以来、ベアボーンやマザーボードのみならず、BTOメーカーからそれらを利用した小型PCが多数ラインナップし、コンパクトサイズのマシンとして一定のポジションを確保してきた。そのNUCに待望のHaswell搭載モデルが登場した。Intel Core i5-4250Uを搭載する「D54250WYK」とIntel Core i3-4010U搭載の「D34010WYK」の2モデルをそろえるが今回は、「D54250WYK」を入手したので、早速その実力を試してみたい。

D54250WYK

インタフェースが強化、使いやすさがアップ

さて、ベアボーンキットとしての大きさはW116.6×D112×H34.5mmとほぼ変わらない。ただ、高さは5mmほど低くなっているようだ。搭載できるメモリやストレージもDDR3L-1600/1333 SO-DIMM×2(最大16GB)、mSATA SSDに加えて、ハーフサイズのMini PCI Expressに無線LANモジュールを取り付けられる点も変化ない。

表面

裏面

CPUやチップセットといった部分以外で、これまでのモデルと異なるのは搭載するインタフェースだ。Ivy bridge世代のNUCでは、Core i3搭載モデルがUSB 2.0×3ポートのみ、Core i5搭載モデルでUSB 3.0×1ポート、USB 2.0×2ポートという構成であった。Haswell搭載ではUSB 3.0を本体の前面と背面に2ポートずつ、合計4ポートを備える。すべてのUSBポートがUSB 3.0になったほか、搭載するポート数も1基増えたことになる。これまでNUCではmSATA SSDを利用するため、それほど大容量のストレージを搭載することができなかった。

本体前面。USB 3,0×2とオーディオポート

本体背面。こちらにもUSB 3.0×2を備える。またMini HDMI×1、Mini DisplayPort×1、Gigabit Ethernetを配置

mSATA SSDで最大1TBを実現した「Samsung SSD 840 EVO mSATA」が発表されたが、まだ発売前のうえ、1TBモデルや500GBモデルだと価格も気になるところ。また、本稿執筆時点で価格や発売時期といった詳細は不明だが、NUCのラインナップに「D54250WYKH」と「D34010WYKH」という2モデルが追加されている。これらのモデルではどうやら2.5インチのSSDやHDDが搭載できるようだ。

D54250WYKH。2.5インチストレージを格納する分、これまでよりもだいぶ厚い製品となるようだ

ただ、いま現在で安価にストレージを増設するには外付けHDDをUSB接続で利用するのが現実的といえるだろう。いままではUSB 2.0の転送速度がネックになっていたが、全ポートUSB 3.0になったことである程度改善されるはずだ。単純にポート数が増えたことでも利便性も高まった。

このほかのインタフェースとして、Mini HDMI×1、Mini DisplayPort×1、Gigabit Ethernet、オーディオポートを備える。このスリムな筐体でこれだけのインタフェースがあれば十分だ。

ケースの裏面を開けて内部を探ってみたい。メモリスロットやフルサイズ/ハーフサイズのMini PCI Expressスロットはそのままだが、SATAポートとSATA用の電源コネクタがある。この時点で2.5インチストレージが搭載できるモデルの布石が打たれていたのかもしれない。「D54250WYK」でも、裏面とマザーボード間のスペースを広げられれば、2.5インチストレージを搭載できるかもしれない。

裏面を外すと内部が見える

内部の様子。SATAコネクタとSATAの電源コネクタがあるのが分かるだろう

それでは、パーツを組み込んで実際にパフォーマンスを見てみたいと思う。今回、メモリにCrucial製DDR3L-1600 SO-DIMM 4GB×2、ストレージにIntel SSD 530シリーズの180GBモデル、無線LANモジュールとして「Intel Dual Band Wireless-AC 7260 Wi-Fi + Bluetooth」を使用した。

これらのパーツを取り付けるだけでPCとして動くわけだから非常に手軽だ。自作PCにあまりなじみがない人でも、自作入門として組んでみるのもいいかもしれない

■今回のテスト環境
CPU Intel Core i5-4250U
RAM DDR3L-1600 4GB×2(Crucial)
Storage 180GB SSD(Intel SSD 530)
OS Windows 8 Pro 64bit(Build 9200)

ここで注意しておきたいのがメモリで、電圧が1.35VのDDR3Lメモリでないと動作しないという。実際に電圧が1.5VのDDR3 SO-DIMMを取り付けたところ動作しなかった。