メモリの設定値を確認する

さっそくベンチマークを行っていきたいところだが、まずはPC内のデバイス情報を表示するソフト「CPU-Z」で、「KHX26C11T2K2/8X」と通常のDDR3-1600メモリの設定を見てみよう。まず「KHX26C11T2K2/8X」の情報を見ると、最高設定のXMP 2666MHzのほか、若干クロックを下げたXMP 2400MHz設定も用意されていることがわかる。1333MHz動作時のメモリタイミングは、CL11-13-13-32。一方通常のDDR3-1600MHzのメモリタイミングは、CL11-11-11-28となっている。

キングストン「KHX26C11T2K2/8X」のメモリ情報。オーバークロック設定として、XMP-2666、XMP-2400の情報が書き込まれている

通常のDDR3-1600MHz設定のメモリ。なおDDR3メモリのため、フリケンシーの数値は実際の半分(800MHz前後)の表示となっている

「KHX26C11T2K2/8X」のXMP-2666MHz設定。クロックはあがっているが、アクセスタイミングも遅めに設定されている

1600MHzと2666MHzの差をベンチマークで比較

それでは、ベンチマークに移ろう。まずは、Windowsの動作の指針となるWindows エクスペリエンス インデックススコアから。2666MHz設定にしたところ、1600MHzよりもメモリ、グラフィックス、ゲーム用グラフィックスの数値が上昇した。予想以上に上がり幅も大きく、ほかのベンチマーク結果にも期待が持てそうだ。続いてベンチマークソフトの定番2本、「SisoftWare Sandra 2014」 の「メモリーの帯域」、および「FUTUREMARK 3DMARK」の検証結果。メモリー帯域は大幅にアップしており、数値どおりの結果が確認できる。一方、3DMarkの結果は、微増というところ。確実に効果は見込めるが、ほかのデバイスの影響力が大きそうだ。

Windows エクスペリエンス インデックス スコア
DDR3-1600 DDR3-2666
プロセッサ 7.9 7.9
メモリ(RAM) 7.9 8.1
グラフィックス 8.2 8.3
ゲーム用グラフィックス 8.2 8.3
プライマリディスク 8.1 8.1
SisoftWare Sandra 2014 「メモリーの帯域」
DDR3-1600 DDR3-2666
整数 メモリー帯域 18.586GB/秒 26.825GB/秒
浮動小数点 メモリー帯域 18.559GB/秒 27.090GB/秒
FUTUREMARK 3DMARK
DDR3-1600 DDR3-2666
3DMark Score 4366.0 3DMarks 4400.0 3DMarks
Graphics Score 4865.0 4892.0
Physics Score 6655.0 6924.0
Combined Score 1911.0 1914.0
Graphics Test 1 23.1 fps 23.2 fps
Graphics Test 2 19.5 fps 19.6 fps
Physics Test 21.1 fps 22.0 fps
Graphics Test 1 8.89 fps 8.91 fps

エンコードは早くなるのか? 実アプリでの効果をチェック

最後に、実際にアプリを動かしたときの速度アップを見込めるかどうか、動画のエンコードで試してみることにしよう。834MBのMP4ファイルを、ペガシスの「TMPGEnc Video Mastering Works 5」にてDivXに変換し、その速度を計測した。結果としては、1600MHz設定に比べ、2666MHz設定が2分ほどはやく変換を終えることができた。さらにサイズの大きいファイルだったり、2パスエンコード設定にした場合、その差はさらに広がることだろう。

ペガシス TMPGEnc Video Mastering Works 5
(834MB, 1920×1080 MP4 → 1280×720 DIVX)
DDR3-1600 DDR3-2666
27分28秒 25分08秒

ボトルネックを解消できる、カスタマイズ最後の一押し

メモリの速度は、現状ソフト動作の必須環境にあげられることは少ない。そのため、ひとまずのバルク製品を購入し、使い続けているユーザーは多いはず。しかし今回の結果で、メモリクロックの向上はWindowsやソフトの動作速度に確実に影響していることがわかった。PCの構成を吟味しシステムを調整、すでに自分のPCに改良するところはないと思っている方にこそ、メモリの変更をぜひおすすめしたい。リスクなしに簡単にオーバークロックメモリの恩恵を受けることのできるキングストンの「HyperX」ならば、お気に入りのPCの性能を底上げする「最後の一押し」として活躍してくれるはずだ。