消費生活評論家の岩田昭男氏

クレジットカードを年会費の安さだけで選ぶという人たちがまだ多いが、そろそろカード選びの基準を変える時に来ているのではないだろうか。

これまでは年会費の安さと還元率の高さでクレジットカードを選んでいたが、これからは、クレジットカードの「中身」と「サービスの価値」で決めるようにしたいものだ。

カードには様々な特典がついているが、その特典やサービスを総合的に判断して、年会費に勝るメリットがあるかどうかを見極めることが大事だ。つまり、特典と年会費の費用対効果を考慮して持つ、それがこれからのカード選びになるだろう。

では、どうやって自分にあったカードを選ぶべきかだが、私は以前からクレジットカードはまず自分のライフスタイルや嗜好に合わせてもつべきだと提唱している。

通勤・通学でお得を取りたいと思うのなら、JRや私鉄が発行するカードをもつのがよいだろう。鉄道を利用すると運賃が割引になったり、ポイントがたくさん貯まってお得になる場合が多い。また、コンビニでの買い物が多い人は、そのチェーンが発行しているカードをもつとよいだろう。毎日の買い物にそのカードを使えば、しっかりポイントを貯めることができる。

それだけでなく、ボーナスポイント商品を選んで購入すればどっさりポイントがつく。それらのポイントを使って、次の買い物で安く買い物ができるのでお得だ。

同じように旅行が好きで、出張やプライベート旅行する時に特別なサービスを受けたいという人の場合を考えてみよう。そういう人におすすめするのはエアラインやホテルと提携している旅行に強いカードだが、その際の判断材料としては何があるのだろうか。どんな特典があれば、このカードをお持ちなさいと推薦できるのだろう。

一番うれしいのは、エアラインやホテルで、特別の待遇を受けられた時だと私は思う。マイルを使ってビジネスクラスにアップグレードしたり、搭乗の際に優先搭乗で最初に機内に入れたといった経験があれば旅行も素晴らしいものになる。しかし、こうした特典(経験)は、毎年、出張などで世界中を飛び回っているお得意さんだけが、受けられるもので、通常はなかなか経験できるものではない。

例えば、大手ホテルグループでは、年間多くの利用がある優良顧客にホテルの「エリート」会員資格を提供し、特別な優遇を設けている。

系列ホテルに年間で数十泊以上宿泊した顧客が対象になるというのが代表的な例だが(宿泊や買い物で獲得したポイントが規定以上あればもらえるというホテルチェーンもある)、この資格をもっていると、部屋のアップグレード(空きがある場合)をしてくれるのはもちろん、レイト・チェックアウトにも快く対応してくれ、さらには、部屋の中にウェルカム・ドリンクをおいてくれるなど、通常では味わえない特典を受けられる事がある。

それにしても、年間で数十泊分を個人で支払うとなると結構な金額になる。旅行好きな人が、旅に強いカードに入会する際に、この「エリート資格」が自動的についてきたりすると、どうであろうか。

ホテルに到着すると速やかに部屋をアップグレードしてくれ、シャンパンが部屋の中においてあり、帰りは飛行機の出発時間に合わせてのんびりできるようにと数時間延ばしてくれるなど、これまでの旅では経験したことのない出来事が連続して起これば、その旅はきっと見違えたものになるにちがいない。

初めて利用するホテルなのに、こういう資格が自動付帯でついてくるならば、カードの年会費を払ったとしても十分にお釣りがくると、思えるはずだ。