本体のボタンを1つ押すだけで、原稿をスキャンできるのがScanSnapシリーズの大きな特徴だ。しかし、「高解像度のタブレットで表示するため画質を300dpiに固定したい」、「名刺の裏面も読み取りたい」といった具合に、用途に合わせてスキャン設定を変更したいこともあるはず。そこで連載の最後となる今回は、ScanSnap iX500(以下、iX500)で思い通りのスキャンを行うために、設定をカスタマイズする方法を紹介する。

ScanSnap iX500

読み取り設定をカスタマイズする

スキャンの設定を変更するには、通知トレイ(Windowsデスクトップ画面の右下)にある「ScanSnap Manager」アイコンを右クリックして、メニューから「Scanボタンの設定」(OS Xは「設定」)を選択する。「ScanSnap Manager」が起動して、現在の読み取り設定が表示される。

通知トレイのアイコンを右クリックして、「Scanボタンの設定」(OS Xは「設定」)

デフォルトで選択されているのは、「おすすめ」設定だ。「コンパクト」や「きれい」を選ぶと、画質が「ファイン」(200dpi)や「スーパーファイン」(300dpi)にそれぞれ固定される。基本の設定は変えずに、スキャン解像度だけを変えたいときは、これらを選ぶことでワンクリックで切り替えることができる。

デフォルトは「おすすめ」だが、このほかに「コンパクト」や「きれい」も選べる。「詳細」ボタンも押してみよう

より細かいカスタマイズが行うには「詳細」をクリックする。「保存先」や「読み取りモード」など、6つのタブが表れて、スキャンデータの保存先やファイル名、画質やカラーモードなどを個別に変更可能だ。

よく使うのは「読み取りモード」タブだ。画質やカラーモードだけでなく、取り込む書類の種類に合わせて、細かいカスタマイズが行える。例えば、裏表に印刷されている用紙を取り込むときは、読み取り面の選択を「両面読み取り」にする。また一度に取り込めない書類なら、「継続読み取りを有効にします」にチェックを入れると、分割して取り込んだあと、1つのPDFに変換できるようになる。

「詳細」をクリックすると、6つのタブが表示される。「読み取りモード」タブでは、画質、カラーモードのほかに、白紙ページの削除や継続読み取りの実行などの設定が用意されている。「オプション」をクリックすると、裏写りの軽減や、文字の鮮明さをあげるためのオプションが表示される

「保存先」タブでは、読み取ったデータのデフォルトの保存先やファイル名などを変更できる

名刺やはがきを読み取るときに便利なのが、「ファイル形式」にあるPDFフォーマットオプションだ。2ページごとにPDFファイルを作るようにすることで、名刺やはがきをまとめてスキャンしたときでも、1枚ずつPDFを作って保存できる。この設定を使うときは、「読み取りモード」タブで「白紙ページを自動的に削除します」が有効になっていると、ページがずれてしまうので、チェックを外しておくとよい。

スキャンと同時にOCR処理を実行したいときや、JPG形式で保存したいときは「ファイル形式」タブで設定する。ただ、スキャン時にOCRを行う「検索可能なPDFにします」オプションを有効にすると、原稿によってはOCR処理の待ち時間が長くなる場合がある。多くの原稿を連続スキャンするなら、スキャンデータの保存先を付属の文書管理ソフト「ScanSnap Organizer」にして、「ScanSnap Organizer」のOCR機能を使うとよい。PCのアイドル時間を利用して、OCR処理(検索可能なPDFファイルへの変換)を行ってくれる

名刺やはがきを読み取るときは、「ファイル形式」タブの「オプション」を開いて、PDFページ分割を「2」にすると1枚ずつ分割できる

詳細で設定を変更すると、「おすすめ」や「コンパクト」、「きれい」ではなく、「カスタマイズ」に保存される。「おすすめ」を選べば、デフォルトの設定にいつでも戻ることができる。設定を変更したら「OK」(または「適用」)をクリックする。ScanSnap Managerが通知トレイに格納されるので、原稿をセットしてスキャンを行う。

変更した設定は「カスタマイズ」に保存。プリセットの「おすすめ」や「コンパクト」にも簡単に戻せる