MobileからIoTに舵を切るARM

続いて、まずは本社のAntonio J. Viana氏(Photo05)がビジネス面でのARMの方針について語った。

Photo05:Appointed Exective Vice President, Commercial & Global developmentのAntonio J. Viana氏

2020年には80億人に達すると見られる世界人口で、この一人ひとりが仮にMobile Deviceを持ったとすると、それだけでConnected Deviceは80億台になる計算になる。ただ現状はまだこうしたデバイスの発展は緒についたばかり(Photo06)とした上で、当面は既存のMobile Deviceが牽引役になるとした(Photo07)。ただMobile機器が広まるということはそれだけConnectivityが広がるということでもある(Photo08)。

Photo06:IoTの最初はこういったところから

Photo07:今のところは、まだMobile機器の性能改善とか機能強化がマーケットを大きく広げている状態

Photo08:IDCによれば2013年のスマートフォンの売れ行きは7.3%増だし、Forbesによれば2018年には現在の12倍にデータ通信量が増えるとしている

こうしたMobilityの増加とはまた異なる話でIoTが広がってゆく、というのが氏の後半のテーマである。最初に示された例はProteus Digital HealthのMedical向けSolution(Photo09)。同社が現在開発しているパッチ(写真左下)や服用可能なセンサ(写真右下)はBluetoothで接続され、結果をTabletなどで確認できる。こうしたものが同社にとってはIoTの取り掛かりであり、医療だけではなく産業の色々な場所で利用できるとしている(Photo10)。こうした様々な関わりに関して、The EconomistとARMが共同でまとめたのがTHE INTERNET OF THINGS BUSINESS INDEXで、これはARMのサイトからダウンロード可能であるが、32ページほどの文章である。講演の中ではこのダイジェストが示されており(Photo11)、IoTへの対応が既にビジネスで必須な事、さらに2020年頃に起こると思われる様々な問題がIoTで解決できる可能性がある(Photo12)事を示して氏の講演は終わった。

Photo09:右の服用可能なセンサは、薬あるいは食事と一緒に摂取する形になる模様。同社の説明では食物組成のもので実害は無いとしているが、詳細は不明

Photo10:IoTというとセンサとマイコンが山の様にばら撒かれて…という壮大なイメージを展開するケースもしばしば見かけるが、そこはさすがにちゃんと地に足の着いたシナリオであった

Photo11:要約すると「IoTの普及はあなたの考えている以上の速度で進んでいる」「IoTはただの"もの"じゃない」「IoTを利用するための知識を身につけることが必要」「協調が要」「ソリューションも揃い始めている」といったところか。詳細はPDFを参照されたい(残念ながら日本語版は無い)

Photo12:輸送/エネルギー/ヘルスケア/教育の各部門の需要をまとめたもの。2020年には各部門の要求が今日よりもずっと増大しており、IoTはこれを解決する一助になるとしている