EVO ZxRの右側のハウジングには、さまざまなコントローラーが配置されている。一番下にあるボタンは、電源とSBX Pro Studioのオン/オフのためのものだ。SBX Pro Studioがオンの時にはグリーンのLEDが点灯する。EVO ZxRはφ50mmの大口径ドライバーを搭載しており、SBX Pro Studioがオフの場合のサウンドもなかなかのものだ。標準状態のEVO ZxRでは低域や高域は特に強調されず、密閉型としてはフラット寄りのバランスだ。これは、音色のコントロールをSBX Pro Studioでカスタマイズやエフェクトで行うことを前提にしたバランスなのではないだろうか。
前方にある「ANC」「TT」の2つは、ノイズキャンセリング関係のボタンだ。ANCはアクティブノイズキャンセリングのオン/オフで、TTはノイズキャンセリング機能がオンのときに外部の音を聴くためのトークスルー機能のためのものだ。その手前には2基のマイクが搭載されている。このマイクはノイズキャンセルだけでなく、ハンズフリー通話にも使用されるものだ。
EVO ZxRのアクティブノイズキャンセリング機能は、極端にすべての外来ノイズを消し去るというタイプではない。どちらかというとソフトな効き具合だ。
無音の場合、効果は十分に感じられるのだが、室内で音楽を流している場合はオンでもオフでもそれほど大きな違いは感じられない。しかし、これは質感がソフトで大型のイヤーパッドを装備した密閉型のEVO ZxRが、遮音性能に優れていることとも関係しているのだろう。また、ノイズキャンセリング機能のオン/オフで音質の変化が少ないことは特筆できる。
中央の円形の部分はマルチファンクションボタンとなっている。マルチファンクションボタンでは、音楽の再生/一時停止、着信応答/終話、Bluetoothのペアリングなどの操作が可能だ。Bluetoothのバージョンは2.1+EDRで、NFCにも対応している。また、同社のオーディオ製品らしく、高音質コーデックのaptXも利用できる。
手前側に配置されているのは、トラックの送り/戻しボタンだ。その外側にはボリュームコントロールも装備されている。
音の最終出力であるヘッドホンとは、異なった種類のデバイス
ソースの忠実な再生は、オーディオ機器が目標とするところだ。ヘッドホンをソースにマッチした特性にカスタマイズでき、さらにソース自体にも高度なエフェクトをかけられるEVO ZxRのSBX Pro Studio機能は、それとはまったく異なったアプローチだといえるだろう。これは、コンピューターサウンド向けのデバイスを長年手がけてきた同社だからこそ可能なアプローチなのではないだろうか。そしてその結果としてのサウンドは、ソースの魅力を強力に引き出すものとなっている。いずれにせよ、非常に楽しいことは間違いない。
そして、飛びぬけた多機能性も大きな魅力だ。EVO ZxRは、音の出力デバイスでしかない通常のヘッドホンとは、もはや違う種類のデバイスだと考えたほうがよいだろう。