3.クリエイティブアップの近道

岩田 : 一緒に勝負できる仲間がいるかいないかで提案の冒険度って変わってきますよね。自分一人だと、できることをつい提案しがちですが、エンドユーザーに楽しさを提供することが、クライアントにとっての価値。だから、自分ができることではなく、この企画ないしは案件が本来あるべき姿を前提として、提案することが重要だと思います。

小野 : 僕はグラフィックもムービーも手がけていますが、周りを見るとフォーマットに乗っかったやり方が多い。だから、こうしたほうがもっと面白くなるだろうとか、開発的な考え方をいつも忘れないようにしているんです。Webサイトづくりは開発だなぁと常々感じていて、何か新しいものをつくろうとか、何か面白いことをしようとかするには、まさに開発脳が欠かせませんね。それに、自分たちの価値や評価ポイントにもつながっていくし、たとえ自分では失敗した、ダメだなと思っていても、周囲が評価してくれることもある。

評価は自分で上げるものではなく、周りが上げてくれるものですからね。

岩田 : ただし、開発脳を持っていても、頼れるのが自分だけというのではイメージの広がりにも限界はあります。納期や金額が決まっていたりすると、アイデアも出づらくなっていく。だから、一緒に戦ってくれるチームをつくるのは大切なんです。フリーランスでも何かあった時のために、無茶なオーダーに対応できる仲間をつくっておくべき。 そうすれば、できること発想ではなく、あるべき発想もできるようになるし、クライアントに納得してもらえる成果が出せれば、それが次の仕事の呼び水になります。広告業界に生きていく自分たちとしては、今の仕事が次の仕事につながっていくということを大事に考えなくてはいけません。

小野 : だから、新たな実験をするなら死ぬ気でやろうと。死ぬ気がなかったら実験じゃないと僕は勝手に体育会系みたいなことを思っているんですけどね。

岩田くんと仕事をする時も、カヤックの他のディレクターと仕事をする時も、本当にそれできるの?という疑問からはじまって、結局はテクニカルディレクターを呼ぶ。

「それ無理です」といわれたって、こうすればできるんじゃないかと別の方法を考えたりしてね。それがモチベーションアップになることも多いなぁ。

可能性を否定されて尻すぼみになるのではなく、チームとして加速するためには開発脳でいることが必要なんですよ。

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まだまだ話足りないといったお二方だったが、時間の都合で今回はこれまで。スキルの勉強ではなく、実践と経験を通じたて習得してきた人にしか語れない言葉には、うなずく来場者も少なくなかった。世の中に新たなモノを生み出し、成果を上げている二人の話を刺激を受け、今後のクリエイティブワークに生かしていってほしい。

【Creator’s Career Lounge(CCL)web vol.3】は、『(#cclweb 【vol.3】 IMJのストラテジストとディレクターがこっそり語る 「コミュニケーションデザイン」』と題し、2013年12月3日(火)に同じくマイナビルームで開催が予定されている。詳細や申し込みはWebサイトを参照して欲しい。