PrimeSenseはどうなる?
Apple買収後のPrimeSenseだが、引き続きモーションセンシング向け半導体や技術の開発を進めていくことになると思われる。以前に買収の噂を報じた際、Patently Appleの現在のKinectが検出可能な体のおおまかな動作だけではなく、より細かい指の動きまでを検出できる仕組みを開発しているという話を紹介した。だが現在、モーションセンサーはKinect時代の高価で比較的大型なものから、わずか数十ドルでノートPCの正面カメラにモジュールとして組み込めるレベルにまで小型化が進んでおり、AppleがMacBookやiMac、iOSデバイス向けに採用を検討しているという話もある。ただし、Venture Beatでは、噂の「iTV」のコントローラや各種サービス向けの技術に採用するのではないかという推測を出している。いずれにせよ、3Dモーションセンシングは特別高価なハードウェアを別途必要としない身近なものとなりつつあり、Appleがこのタイミングで何らかの興味を示したということが重要だといえる。
Apple買収後の懸念
またAppleのPrimeSense買収に関して懸念されるのは、既存顧客の扱いと、その採用製品の今後の行方だ。Appleが以前に指紋認証センサーのAuthentecを買収した際、既存の契約が打ち切られ、同技術を採用したPCやハードウェアが軒並み市場から姿を消し、メーカーが対応に苦慮したという経緯がある。Authentecの例にとどまらず、同社が音楽共有サービスのLalaを買収した際には、すぐにサービスが打ち切られ、最終的に数年後に「iTunes Match」という形で類似サービスを出すまでユーザーが放置されたほか、従業員の多くが解雇されたという話が知られている。今回、Kinectについては、Microsoftが独自技術開発を進め、間もなく発売されるXbox One向けのモーションセンサーではPrimeSenseではなく同社独自技術が採用されており、Authentecのときのような問題はないと思われる。またBusiness Insiderによれば、Microsoftは2010年にPrimeSenseのライバルであるCanestaという企業を買収しており、比較的早くから独自技術への移行を模索していたようだ。Appleが買収によってPrimeSenseの技術と製品のみを吸い出し、会社の整理を狙っているかについては、同社が近年イスラエルでの研究開発センター強化に取り組んでいる点から、人材確保をも視野に入れた買収であると推察できる。