ブルーエアでは空気性能の能力を表す指標として、"CADR"と呼ばれる基準を採用している。これは、米国家電製品協会(AHAM)が定めるもので、空気清浄機の世界基準だ。これに対し、曽根氏は「本当に空気が浄化されているかというのはフィルターの性能ではありません。あくまでもシステムとしてどうなのかというのが重要。いくらフィルターが0.3μmのHEPAを使っていたり、大容量のファンを採用していたりしても、システムとしてトータルで見た場合どうなのか」と、日本国内の空気清浄機の評価基準に疑問を投げかかる。
曽根氏が言うには「空気を大量に吸っていても、使い古したフィルターを通して逆にホコリまみれの空気が出てしまうこともあります。最終的に吐き出される空気がキレイかどうかというのが重要なのに、今の日本の基準だとそれは分かりません。でもCADRというのはキレイな空気がどれだけ出ているかという数値なので、ブルーエアは確実に空気を浄化できていると自信を持って言えるんです」とのことだ。
また、センサー部分もそれぞれ分解してもらい、その仕組みを解説してもらったところ、センサー類は他社製品に使われているものとほとんど同じものだという。微粒子を検知するダストセンサーは、浮かんでいる塵やホコリが中に入ると赤外線が反射して受光部に入っていき、その反射量によって空気中にどれくらいゴミが浮かんでいるかを判断する。また、ニオイセンサーは臭いを元に戻そうとする還元ガスの濃度を認識してその変化で判断しているとのことだ。空気清浄機としてはごく一般的な部品を採用しているとのことだが、筆者がユニークだと感じたのはその設置個所。通常は吸気側に備わっていることが多いのだが、ブルーエアは排気側に装備している。
これについては「汚い空気というのはキレイな空気とすぐに混ざり合ってしまいます。センサーでその割合を感知して判断させているので、排気側に設けることでよりストイックに検知できるようにしているんです」と、曽根氏は説明してくれた。
そのほか特徴的だと筆者が感じた点は、部品の大半がスチール製ということ。全体的に重厚感があり、デザイン的な高級感をもたらしているようにも感じる。
これについて曽根氏は「スチール素材を部品の基本にしていることは、実は静音性にも貢献しているんです。音というのは振動で生じるものなので、音を消したいのであれば振動しないようにある程度の重量が必要になります。あと、ブルーエアの内部はネジ留めではなくてほとんどがリベット留めなんです。それは振動が合った時にも緩まないようにという理由です。ネジ留めだと緩みが生じるのでどうしても微動が発生してしまうので、それが異音のもとになってしまいます」。
さらに「最近の製品はギミックが多くて、いろんなところが開いたり動いたりしますよね。可動箇所が多いということは、音を発生させる原因にもなりやすいんです。部品点数も多いので、音の原因を抑えきれない。だから構造がシンプルなものほど基本的に音を抑えることができるんです」と、ブルーエアがシンプルさにこだわるもうひとつの理由を説明した。
日本の消費者市場においては、空気清浄機に限らず、技術の進歩とともにより複雑で多機能なものを求めたがる傾向にある。そんな中、"黒船"のように日本に上陸したブルーエアだが、複雑で高機能なものが必ずしも高性能と言えるわけではないことを今一度考えさせられる製品だ。
確かに、今よりも単純で機能は低くても、昔の家電は最近の製品に比べて壊れにくかった。そんなことからも、高機能化や多機能化の良し悪しは一概には言えない。今回の分解実験で、ブルーエアが「本当に空気を浄化する」ということに真摯に取り組んだ製品だと感じた。。