今回の企画のために、筆者宅にもブルーエアをお借りして1ヵ月ほど試用しているのだが、確かにブルーエアは「本当に稼動しているの?」と心配になるほど音が静かだ。率直にその感想をぶつけてみたところ「確かにそうおっしゃられる方は多いです。けれどブルーエアの場合、最少運転でも他社さんと同じかそれ以上にしっかりとファンは回っているんです。でも音が静かだから働いていないように感じてしまうかもしれませんね」とのこと。

稼動中のシロッコファン。力強く回転して大風量を引き起こしている割に音は静かだ(ここをクリックすると動画が再生されます)

一方、フィルターに関しては箱型のもの1個だけ。ユーザーはこれを半年ごとに交換するだけで済むのだ。これまたあまりにシンプルで「こんなんでホントに空気を浄化できるの?」という疑問を曽根氏に投げてみた。

曽根氏が言うには「ブルーエアのフィルターは日本メーカーの製品で多く採用されているHEPAフィルターよりも目は粗いんです。でも空気清浄というのは、システムとしてどれぐらい空気を浄化できるのかというのが重要。0.3μの微粒子を99.97%以上確保できるものがHEPAフィルターの工業規格ですが、これはフィルターの性能であり、それがそのまま空気清浄の性能とは言えません」とのこと。

確かに、ブルーエアは広告等で「HEPAフィルター」とは謳っていない。同社は「HEPAサイレントテクノロジー」と記している。その違いについて言及を求めると、「ブルーエアはシステム全体として捉えれば、HEPAフィルターを搭載している清浄機よりはるかに高い性能を誇ります」と自信をみせる。

給気口と送風口の間にあるフィルター。写真右側から吸気し、フィルターを通って、浄化した空気を左側から出す仕組みだ

「HEPAサイレントテクノロジー」はブルーエア独自の特許技術で、空気中に漂う花粉やウイルス、ハウスダストなどの微粒子や微生物を大型ファンで吸い込んだ後、「イオナイザー」と呼ばれる部分でマイナスに帯電させ、プラスに帯電している3層のフィルターを通し、静電気の力で吸着・除去する仕組みだ。

「ブルーエアでは静電気の力も借りるので、フィルター自体はHEPAほど目を細かくする必要がないと考えています。逆にHEPAより"目"が大きいぶん風が通りやすく、大風量の維持ができます。大風量を維持できるということはファンのパワーも小さく済むので、それだけ音も低く抑えられるし、電気代もかからないというメリットがあります」と曽根氏。つまり、ブルーエアの本体が大きい理由は、本来の空気清浄機としての機能を追求した結果ということだ。

フィルターの不織布は伸ばすと17mほどの長さになるものを本体に合わせたサイズにまで圧縮している。HEPAフィルター規格より"目"は粗いが、風の通りをよくすることも重要。ブルーエアでは、トータルのシステムとしてHEPAフィルター以上の空気浄化性能を引き出しているという

フィルターの不織布部分。蛇腹状に何枚も折り重なっている

折り重なったフィルターを広げたところ。筆者が手作業で測ったところ、16.928mもの長さだった

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