加湿機能やイオン発生機能など、国内の大手メーカーがこぞって空気清浄機の多機能化と小型化に力を入れる中、空気清浄というあくまで本来の目的に的を絞り、ストイックに性能の向上を追求する独自路線をたどるスウェーデンの空気清浄機メーカー、ブルーエア。空気清浄という目には見えず、効果が分かりづらい家電製品の秘密に迫るべく、メーカーのテクニカルサポート担当者の立ち合いのもと、本体をできる限りのところまで分解してもらい、その技術の仕組みとそれに性能の裏付けを解説してもらった。
今回ご協力いただいたのは、ブルーエアの日本総代理店・セールス・オンデマンドの事業開発部テクニカルサポート部の曽根泰次長。曽根氏は、同社で最もブルーエアの製品に精通していると言われている。「中身がとても単純な構造であんまり面白くないかもしれませんよ」と恐縮しながら、本体を早速解体し始めた。
確かに、本体横の扉を開いてフィルターを外すと、そのすき間から覗ける範囲だけでも非常にシンプルだと分かる。今回解体してもらった21畳用の「ブルーエア450E」に関しては、中からマザーボードが出てきてもおかしくないぐらいPCケースと言っても相違ない。
次に、側面の板を外してもらうと、中から出てきたのは「食品検査の遠心分離器?」と言いたくなるような筒状のものと、それを制御するための基板。筒状のものは、中を覗くとファンとモーターで構成されている。空気清浄のための風を起こす、空気清浄機の性能を左右する基幹部分だ。ファンはシロッコファンと呼ばれるもので、最近の台所の換気扇によく使われているもの。
曽根氏は「最近の住宅の仕様はキッチンと外部までが離れている場合が多くて、換気扇との間に長いダクトが設けられている場合が多い」と前置きしたうえで、「そうすると、空気を押し込むパワーが必要で、シロッコファンというのは空気を押し込んで圧力をかけるのに非常に適しているです。それをブルーエアも採用している。39畳用の650Eに関してはもっと風量を出したいのでプロペラファンを採用しています」と説明する。
また、「ファンが大きいというのは、大きなうちわでゆっくり扇ぐのと同じで、大量の風量を起こしつつもバタバタとした音は出ません。コンパクトに作ろうという傾向にある日本メーカーの製品だと、当然その分ファンも小さくなり、音は大きくなってしまいます。それで消音のためにいろいろな機能を付けざるを得なくなり、構造が複雑になることが避けられなくなってしまうのだと思います」と独自の見解を補足した。
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