「艦隊これくしょん -艦これ-」(以下、艦これ)というブラウザゲームがある。この「艦これ」にハマっている。寝ても覚めても頭の中は「艦これ」で、朝起きては長時間遠征の結果をチェックし新たな遠征と任務を設定、寝る前には大破した艦娘(かんむす)をドックに入れて長時間遠征を見送るという、それはもうおはようからおやすみまで、艦これをプレイする生活が続いている。

「艦隊これくしょん -艦これ-」。右位置の女の子(艦娘)は駆逐艦「電」を擬人化した"電"ちゃんである

「艦隊これくしょん -艦これ-」は、角川ゲームスが開発しDMM.comがサービスを提供する艦隊育成シミュレーションである。プレイヤーは提督として、軍艦を擬人化した艦娘(かんむす)を、資源を運用して建造したり戦闘したりしながら、集め育てていく。

2013年4月にリリースしてのち人気に火が付き、10月9日時点でユーザー数は100万人規模を突破。1日のアクティブユーザーも40万規模に上るという。現在もサーバの増設を行い、デイリーで数千人のユーザーに抽選で解放しているが、それでも追い付かない状態だ。

このレア感も手伝ってか、ゲーム以外の展開も快進撃が続く。艦これ特集を組んだゲーム・マンガ雑誌『コンプティーク10月号』(9月10日発売号)は、完売続出で異例の緊急重版。9月26日にはPS Vita向けタイトルが発表され、10月30日現在アニメ化プロジェクトも進行している。

そんな艦これの1プレイヤー(ゲーム内呼称は提督)となって数カ月。本題に入る前に艦これの魅力を語りたいと思うが一言ではまとめにくい。当初は「戦闘で攻撃されると、艦娘の服が破れる」というDMM.com的な仕様に興味を持って始めたことは否めないが、ゲームを進めるうちに、資源の分配や艦娘のレベルと組み合わせ、それらを総合した上での戦闘の進退判断といったゲーム性にハマってしまった。また、第2次世界大戦の史実を色濃く反映した艦娘たちのキャラクター性、バックグラウンドの深さにも圧倒的なロマンがある。ロマンというか存在感がある。10月30日時点で110以上の艦娘が登場するが、いずれも基本的に実在の艦を基にしている。

例えば駆逐艦「電」(いなづま)は、1942年に発生したスラバヤ沖海戦で僚艦「雷」とともに沈没した敵艦乗組員を救助したという史実があるが、ゲーム内でも「沈んだ敵も、できれば助けたいのです…」という台詞を言う。こうした、軍艦に対するこだわりが随所にみられる。この愛のある擬人化が、ゲームの魅力の1つといえよう。

もちろん服が破れるのもいいのです!

艦娘のコレクション一覧や、それぞれの詳細も見られるのです!

どうでもいいけど"リモ艦"しようぜ!

そんな艦これワールドにどっぷり浸かり、今までオンラインゲームに課金したことなど一度もなかったが、艦娘を建造しすぎて資源が足りず、一戦しては補給を待ち、補給を待っては一戦し……(時間経過に応じて資源がたまる仕組み)。このまま画面の前でストレスを溜めるくらいならいっそと思い詰めた結果、ついに課金に手を出した。電ちゃんに投資したと思えば些細なことであると言い訳しながら一万数千円。それごときでと思わないでもないが、反面「これでiPadの『Keynote』(1,000円)も『Pages』(1,000円)もみんなみんな買えるな…」などの罪悪感に苛まれる始末だ。

さて、そんなしがないいち提督(Lv.33)は、いつでもどこでも艦これしたいわけであるが、公式のサポートはPCのみ。OSはWindows XP、Vista、7およびMac OS 10.7、ブラウザはInternet Explorer 8以降、Safari 6以降、Google ChromeおよびFirefoxである。筆者が所有する唯一のタブレット「iPad(第3世代)」ではプレイできないのが現状だ。日本時間10月22日深夜に発表されたRetina解像度のiPad miniも予約したが、どのみちiOSには非対応だ。いつでもどこでも艦これする、というわけにいかない。

実は艦これをiPadでプレイする方法はないでもない。一つはPuffinやSkyfireといったFlash対応アプリを使用する方法。だがこの方法は推奨環境外のため、ゲームサーバに負荷がかかる恐れがある。かつ、暁の水平線に勝利を刻みたいだけの提督の良心に照らし合わせても、電ちゃんに負担がかかるようなことはしたくないものだ。

そこで注目されているのが、母艦PCをリモートで動かす方法だ。9月に開催された「東京ゲームショウ2013」でも展示されていたが、ゲーム自体はPCで動かし、画面だけをiPadに転送させる。この方法であればサーバに負担もかからず、ひいては電ちゃんにも苦労をかけないわけで、提督としても安心して出撃できる。

東京ゲームショウ2013のAMDブースに展示されていた、Nexus 7(2012年モデル。初期OSはAndroid 4.1)で動く艦これ。AMDのクラウドゲーム向けグラフィックス「AMD Radeon Sky」搭載サーバによるデモンストレーションだ。時代はやはりリモートか

そんななか、2013年8月末、PC内のソフトウェアにiPadからリモートでアクセスできる「Parallels Access for iPad」というアプリが登場した。Mac用デスクトップ仮想化ソフトで知られるParallelsが提供する、iPadに特化した遠隔操作アプリだ。

前置きが非常に長くなったが、艦これをリモートで動かす"リモ艦"用アプリとしてちょっと気になっていた「Parallels Access for iPad」で、実際にリモート艦これを2カ月弱試してみたところ意外と快適だったため、導入法と所感をざっとご紹介したい。

会社のデスクにて。意外と快適でした

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