Kindle連載では作品を一度購入すると、その時点までのエピソードがすべてKindle端末やKindleアプリに配信される。また、新しいエピソードが出るたびに自動で追加されていくため、雑誌のように買い忘れや売り切れの心配がないのだという。

配信される作品はバラバラのファイルになるのではなく、直近のエピソードの後に追加されていく。このとき、現在読んでいる場所、あるいはハイライトやメモした内容は維持される。エピソードが最後まで配信されて連載が終了すると、その時点で一冊の本が完成するという仕組みだ。なお、完結した時点でその作品はKindle連載枠からは外れ、通常のKindleストア内で他の作品と同じ扱いになる。

Kindle連載では常時20作品程度の枠を設けており、まずは第一弾配信作品として『UNDERGROUND MARKET ヒステリアン・ケース』(藤井太洋 著)、『東京トイボックス0』(うめ 著)、『美女入門パート12』(林真理子 著)、『マスゴミ』(鈴木みそ 著)など18作品を配信する。

価格や連載回数、頻度は一律ではなく、各作品によって異なる。万が一、連載が途中でストップするようなことがあれば、購入したユーザーに返金する。「その号だけを買ったのではなく、あくまでも完成形を買っていただいているという認識」(友田氏)。

Kindle連載は新しいコンセプトのサービスということもあり、今後は20作品程度をめどに少しずつ拡大していく予定。Kindleダイレクトパブリッシングのように一般ユーザーに解放する予定は今のところないという。また、Amazon側では編集や校正は行わず、基本的に作家・出版社側で完成させたものを納品してもらうシステムだ。

作家・藤井太洋氏

発表会には第一弾として参加する作家の藤井太洋氏も姿を見せ、「紙ではある程度決まった長さにする必要があるが、Kindle連載なら長さも価格も自由。これでやっと物語が求める長さの話が作れる。また、スピード感もある。私がKindle連載で配信する作品は2018年が舞台なので、東京オリンピックが決まったという設定で話が進むシーンがある。それを入れたものを今日から届けることができるスピード感はKindle連載ならでは」と、作家サイドからの電子書籍のメリットをコメントした。