ひと通りのプレゼンテーションを終えたところで、ゲッティ イメージズの売れ筋コンテンツの具体例、および「フリッカープログラム」への参加の近道などについて質問してみた。自分が撮影した写真をゲッティ イメージズで販売したいというアマチュアフォトグラファーは参考にしてほしい。

──いま求められている写真のトレンドについて教えてください。

私たちが発行しているオンラインマガジン「Curve」では、さまざまなトレンドを紹介しています。ここでは3つのトレンドを紹介しましょう。

Curve」は、ゲッティ イメージズが発行する最新ビジュアルトレンドの動向を捉えたオンラインマガジンだ

まずは私たちが"Make(メイク)"と呼ぶ「sustainability(持続可能性)」に関連するトレンドです。クラフト(工芸品)は、人々にとっても地球にとっても良いことです。そのため、「職人芸」というイメージを広告に活かすことで、品質の良さをアピールできるのです。例えば、ハーゲンダッツのある事例では、バイオリン制作過程の写真をアイスクリーム作りのイメージに関連づけています。

次に、"The New Wealth(ニューウェルス)"と呼んでいるトレンドです。多くの消費者は経済の不安定さを学ぶことで、マイホームを所有する喜びよりも、家の中で有意義に過ごすことが重要だと悟りました。ドイツの「フォルクスバンク」による「What Drives Us(何によってわれわれは動かされているのか)」というキャンペーンでは、銀行の顧客に対し「人生はどういうモチベーションで動いているか」を尋ねるレポタージュ形式を取っています。

最後に挙げるのは、"Female Rising(台頭する女性)"です。過去10年間で女性のイメージは政治的にも社会経済的にも、そして文化的にも向上しました。FacebookのCOO・シェリル・サンドバーグ氏は、「キャリアの成功」と「充実した私生活」は両立できると訴えています。このことはゲッティ イメージズで売れている画像にも反映され、「強い女性の上司」あるいは「成功している女性」という印象を持つもののニーズが高まっています。以上、3つの例を挙げましたが、これは、さまざまな事柄がビジュアルトレンドに影響を及ぼしていることをお伝えしたかったためです。

──では、需要が高まっている写真の具体例を挙げていただけますか?

先ほども申し上げたように、よりオーセンティック(本物志向)なものが求められています。モデルのタイプも変化していて、例えば女性ならより活動的なイメージのものが好まれています。また、スマートフォンで撮影したようなスナップ写真のようなものも需要が高まっています。テーマ的な変化も顕著で、先ほどお話しした「メイク」などが最近のトレンドとなっています。

上段、下段ともに、左が2007年、右が2012年に人気を集めた写真素材。同様の被写体でも、より活動的に見える写真や日常の瞬間を捉えた写真が求められるようになった

──スマートフォンで撮影した写真をストックフォトとして販売する予定はありますか?

すでに開始していて、「フリッカーコレクション」の一部がそれにあたります。フリッカーコレクションにおいては、最低品質の基準を変更しています。なぜなら「瞬間」を捕らえることが重要になっているからです。そのような「瞬間」の多くは、スマートフォンしか持っていない状況の中で起こりがちなので。

ですから、スマートフォンのカメラ性能の向上は、私たちにとっても喜ばしいものです。例えば、水中でも撮影できるものや、特殊レンズを付けられるものなどが登場することによって、さらに良い写真が提供されることを期待しています。

──現在の「フリッカーコレクション」の仕組みでは、撮影者がFlickrへ投稿してからゲッティ イメージズでの販売が開始されるまで日数がかかると思います。例えば、偶然出くわした事故や決定的瞬間などの即時性に価値のある報道写真を、一刻も早く販売する方法はないのでしょうか?

まさにそのための仕組みを今、手がけているところです。おそらく3~6カ月の間に期待できるアナウンスがあると思います。私たちも(発表を行うことが)とても楽しみです。

──現在、Flickrには星の数ほどたくさんの写真が毎日投稿されていますが、その中から販売に適した高品質な写真をセレクトするのは大変な作業だと思います。「フリッカーコレクション」で販売する写真のセレクト作業は、コンピュータープログラムなどで自動化されているのでしょうか?

いいえ。すべて人の手によってセレクトしています。Flickrに投稿された写真の中から、われわれのフォトエディターチームがより売れやすい写真や貴重な瞬間を捕らえた写真をセレクトして、フォトグラファーにオファーしています。

著者注:Flickrにアップロードしている写真がエディターの目にとまると、ゲッティ イメージズから「フリッカーコレクション」への招待メールが届く。同プログラムでは、同社が提供してほしい写真をセレクトし、撮影者がそれを承認する形となる。

──これから「フリッカーコレクション」に参加したいというアマチュアフォトグラファーは、ゲッティ イメージズのエディターからのオファー(招待メール)が届くのをひたすら待つほかないのでしょうか?参加の近道があれば教えて下さい。

まずはFlickrアカウント設定ページで、ゲッティ イメージズからの招待メールを受けられる設定であることを確認してください。最も手っ取り早い方法として、われわれのTwitterアカウント(@GettyImagesWant)を経由し、ロンドンのエディターチームからの回答を得る方法があります。

ゲッティ イメージズから招待メールを受けるには、Flickrのアカウントページの「Privacy & Permissions」にある「Make your photos eligible for invitation by Getty Images~」で「Allow Getty~」(上2つのどちらか)を選択しておく(デフォルトではオンになっている)

写真がゲッティ イメージズの目に留まると届くメール

テクノロジーの進化により、アマチュアのフォトグラファーがストックフォトへの投稿を行える状況が整ってきている。より"オーセンティック"な写真が求められている今、アマチュアだからこそ撮れる写真も増えてきていると言えるだろう。

■"世界"で活躍したいアマチュアカメラマン必見のイベント

こういった状況を受けて、ストックフォトに挑戦したくなったアマチュアカメラマンもいるかもしれない。そんな人にぴったりのイベントが、11月18日~11月20日に開催される「iStockalypse」だ。

というのも、同社のストックフォトサイト「iStock」との契約を希望する日本在住のフォトグラファーであればプロ、アマ問わず無料で参加可能で、ストックフォトに関する基本のレクチャーからモデルの撮影、そして作品に対するフィードバックが受けられるからだ。また、参加にあたっては事前登録と審査が実施されるため、腕試しの機会にもなるだろう。自身の写真を世界で販売してみたい人は、ぜひ参加を検討してみてほしい。