半導体エネルギー研究所

今回の展示会場では比較的大きく、内容も盛りだくさんだった。半導体エネルギー研究所は技術を売ったり共同開発したりする会社なので、直接の製品は作らない

「IGZO(In-Ga-Zn-Oxide)」というとシャープのイメージが強いと思うが、シャープのIGZOページを見ると、「IGZO液晶ディスプレイは、(株)半導体エネルギー研究所との共同開発により量産化したものです」と書いてある。半導体エネルギー研究所は、現在のIGZOを含むC軸配向性結晶性酸化物半導体を「CAAC-OS(C-Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)」と称し、それらを活用した研究技術の展示を行っていた。

半導体エネルギー研究所は研究開発の会社なので、そのままでは製品化されることはないが、「これはイケる」と思う会社と組めば将来のIGZO液晶に続くかも…と思える展示が多かった。

ディスプレイ業界の学会「SID」(Society for Information Display)の、2013年Display of the Year金賞をシャープと共同で受賞(AQUOS Phone Zeta SH-02Eのディスプレイ)。写真右の裏に見えるのは、2013年の「SSDM」(国際固体素子・材料コンファレンス)の「Paper Award」(前年度の投稿論文で最も優れた研究を行い、最も優れた成果を発表した研究者に贈られる)

4K有機ELの「曲がるディスプレイ」。また、写真は割愛するが、曲がるリチウムイオン電池、曲がる有機EL照明も展示されていた

曲げられる理由の1つが薄いことで、100ミクロンほどのフィルム上に有機ELが配置されている

製品化されたらインパクトが高そうな曲面ディスプレイ。スマートフォンでのフロントサイドまで、有機ELが一体で表示される。極薄ディスプレイフィルムをフロントカバーに張り付けている

3.4型でQHD(Quarter HD:540×960ドット)。研究開発デモということで、解像度よりもやはり曲がっているところがポイントだろう

サイドインジケーター&スイッチをイメージしているらしい。サイドスイッチがなくなればデザインの自由度も上がるし、スイッチの耐久性も考えなくてよさそうだ

曲げる向きを変えれば、上部のサブディスプレイ代わりにもできる

「上下左右、全部曲げるのはダメ?」と聞いたが、張り付ける関係上「曲げ」は一方向だけしか想定していないとのこと

極薄ディスプレイを支えているのが、ガラス基板で素子を作ってフィルムに転写するという技術だ。ガラスだと素子を作るための熱には耐えられるが薄くしにくく、薄い樹脂フィルムは熱に弱いので、ガラス基板で作ったものをフィルムに転写する

CAAC-OC(C軸配向性結晶性酸化物半導体)の高オフ抵抗を利用し、多値メモリを作ろうというのがこれ。1セルが3素子で構成され、3値の記憶が高書換サイクルに耐えるそうだ

書き込みよりも読み出しのほうが遅いのは、多値記憶の分割のためとのことだった

トビー・テクノロジー・ジャパン

ブースは小さいものの、多くの人がのぞき込んでいたトビーブース。初日の14時でパンフレットスタンドが空っぽというのが注目された証拠か

小さいブースながら意外と注目されていたのが、スウェーデンに本社があるトビー・テクノロジー・ジャパン。どのぐらい人気だったかというと「初日なのにパンフが品切れ」だった。

この会社は視線入力装置「アイトラッカー」を販売しており、世界トップシェアということだ。原理は、「投光した赤外線が眼の網膜で反射するのをカメラでとらえる」というものだが、メガネを掛けているとか条件が悪い状況でも9割ぐらいの認識があるという。

普及するための最大のネックは価格で、2013年2月14日に発表された"お手頃価格"の「Tobii X2アイトラッカー」は99万円(税別)…。研究開発や調査用途でも気軽に導入できる価格ではないだろうが、2012年にインテルキャピタルがTobii Technology ABに210万ドルの投資をしているので、もしかすると将来のUltrabookに入ったりするのかもしれない。

展示していたのは小型の視線入力装置「Tobii X2アイトラッカー」。税込なら100万越えでかなりの高額製品だ

体験中の方。最初に簡単なキャリブレーションを行うだけで視線コントロールができる。ここでは、注視(目的の位置に1秒くらい視線を止める)だけでは面倒ということで、キーボードを押して視線を向けて、キーボードから指を離すと確定できるようにしている

CEATEC JAPAN 2013のインテルブースでも視線入力があっなぁと思ったら、やはりを使っていた

こちらは2012年4月13日にインテルつくば本社で開設された「ヒューマン・インタラクティブ・テクノロジー・アプリケーション・センター」の展示。ここにもトビーのロゴがある