半導体エネルギー研究所
「IGZO(In-Ga-Zn-Oxide)」というとシャープのイメージが強いと思うが、シャープのIGZOページを見ると、「IGZO液晶ディスプレイは、(株)半導体エネルギー研究所との共同開発により量産化したものです」と書いてある。半導体エネルギー研究所は、現在のIGZOを含むC軸配向性結晶性酸化物半導体を「CAAC-OS(C-Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)」と称し、それらを活用した研究技術の展示を行っていた。
半導体エネルギー研究所は研究開発の会社なので、そのままでは製品化されることはないが、「これはイケる」と思う会社と組めば将来のIGZO液晶に続くかも…と思える展示が多かった。
4K有機ELの「曲がるディスプレイ」。また、写真は割愛するが、曲がるリチウムイオン電池、曲がる有機EL照明も展示されていた |
曲げられる理由の1つが薄いことで、100ミクロンほどのフィルム上に有機ELが配置されている |
製品化されたらインパクトが高そうな曲面ディスプレイ。スマートフォンでのフロントサイドまで、有機ELが一体で表示される。極薄ディスプレイフィルムをフロントカバーに張り付けている |
3.4型でQHD(Quarter HD:540×960ドット)。研究開発デモということで、解像度よりもやはり曲がっているところがポイントだろう |
サイドインジケーター&スイッチをイメージしているらしい。サイドスイッチがなくなればデザインの自由度も上がるし、スイッチの耐久性も考えなくてよさそうだ |
曲げる向きを変えれば、上部のサブディスプレイ代わりにもできる |
「上下左右、全部曲げるのはダメ?」と聞いたが、張り付ける関係上「曲げ」は一方向だけしか想定していないとのこと |
極薄ディスプレイを支えているのが、ガラス基板で素子を作ってフィルムに転写するという技術だ。ガラスだと素子を作るための熱には耐えられるが薄くしにくく、薄い樹脂フィルムは熱に弱いので、ガラス基板で作ったものをフィルムに転写する |
CAAC-OC(C軸配向性結晶性酸化物半導体)の高オフ抵抗を利用し、多値メモリを作ろうというのがこれ。1セルが3素子で構成され、3値の記憶が高書換サイクルに耐えるそうだ |
書き込みよりも読み出しのほうが遅いのは、多値記憶の分割のためとのことだった |
トビー・テクノロジー・ジャパン
小さいブースながら意外と注目されていたのが、スウェーデンに本社があるトビー・テクノロジー・ジャパン。どのぐらい人気だったかというと「初日なのにパンフが品切れ」だった。
この会社は視線入力装置「アイトラッカー」を販売しており、世界トップシェアということだ。原理は、「投光した赤外線が眼の網膜で反射するのをカメラでとらえる」というものだが、メガネを掛けているとか条件が悪い状況でも9割ぐらいの認識があるという。
普及するための最大のネックは価格で、2013年2月14日に発表された"お手頃価格"の「Tobii X2アイトラッカー」は99万円(税別)…。研究開発や調査用途でも気軽に導入できる価格ではないだろうが、2012年にインテルキャピタルがTobii Technology ABに210万ドルの投資をしているので、もしかすると将来のUltrabookに入ったりするのかもしれない。