すぐ近くにいる友人にちょっとしたファイルを渡したいとき……PC同士ならばメモリカードにコピーする手もあるが、メールやSNSのメッセージに添付するのは腑に落ちない。わずか数メートル先にいる人物に、なぜインターネット経由でファイルを送信しなければならないのか? 理屈はわかるが数秒程度のことだから、と自分を納得させているユーザも多いことだろう。
そんな"壮大な遠回り"に対するAppleからの回答が、iOS 7の新機能「AirDrop」だ。近距離にあるiOSデバイスと各種データをやり取りする機能で、通信には無線LANおよびBluetoothを利用する。同機能に対応するアプリでファイルを開いているとき、あるいは送信可能なデータがあるときに共有ボタンをタップすると近くのiOSデバイス -- 現時点ではiOS 7以降がインストールされたiPhone 5/5s/5c、iPad Retinaディスプレイ、iPad mini、第5世代iPod touch -- が表示されるので、それをタップするとただちにファイル/データの送信が開始される。インターネット接続の有無に影響されないため、山間部やビル内部など電波の状況が芳しくない場所でも使えることがポイントだ。
なお、OS X(Lion以降)にある同名のファイル共有機能とは互換性がなく、互いが近くにいてもなにも起こらない。Mac上の文書を直接iPhoneで受け取る、iPhone上のデータを直接Macで受け取る、という使い方はできない。
AirDropを利用する準備は簡単。コントロールセンターを開きAirDropをタップ、そこで「連絡先のみ」または「全員」をタップすればいい。すると無線LANとBluetoothが有効化され、AirDropで通信可能なiOSデバイスが検出される。無線LANが使えるときは無線LAN、そうでないときはBluetooth(ただし目安として10m以内)という順に処理されるので、ユーザ側が使用する回線を選ぶ必要はない。