今年のBenQは「目に優しい」がテーマ
―― 「フリッカーフリー」や「ブルーライトカット」もミーティングから実現したとのことですが、いつ頃から開発を始めたのでしょうか?
Liao氏「ブルーライトカットについては、昨年(2012年)に行った眼科医とのミーティングがきっかけで検討を始めました。実際に開発を始めてみるといろいろ大変で、単にブルーライトを取り除くと、画面が黄色くなるなどの症状が現れました(編注:画面の青色成分を減らすとブルーライトも減るが、色味が赤っぽくなったり黄色っぽくなったりする)。そういった不具合を試行錯誤しながら取り除き、製品に反映していきました」
Chang氏「フリッカーフリーについても、開発を始めたのは昨年(2012年)からです。BenQはさまざまなリサーチ会社とミーティングの場を設けており、日本でもお馴染みのリサーチ会社とも情報交換しています。その中で『Computer Vision Syndrome』、日本で言う『VDT症候群』(編注:ディスプレイを長時間見続けることで起こる健康トラブル)という問題があることを認識しました。その原因の1つが『フリッカー(ちらつき)』だということで、フリッカーを取り除くことを目的に開発を始めました」
Liao氏「実際にフリッカーを取り除いてみると、ブルーライトカットのときと同じく、やはり画面の色が変わってしまいまして…。それを解消するために、かなり試行錯誤しました。弊社のフリッカーフリー・ディスプレイはDC(Direct Current:直流電流)調光方式のバックライトを採用しているのですが(※)、この方式ではディスプレイの輝度を下げると回路が安定しません。そこで回路の設計やソフトウェアのチューニングについてトライ&エラーを繰り返し、問題を克服しました」
※:DC(Direct Current:直流電流)調光方式
LEDへの電流値を増減することで、バックライトの明るさを制御する方式。LEDの明滅がないため、ちらつきがない。別記事『フリッカーフリーで目の負担を軽減、ブルーライト対策も搭載 - ベンキュージャパンの27型ワイド液晶ディスプレイ「GW2760HS」』も参照いただきたい。
沢尾氏「フリッカーフリー対応のディスプレイを実際に使ってみて、従来の液晶ディスプレイとの違いを感じています。ちらつきを目で確認することはできませんが、画面が落ち着いているような感じを受けますね。
ベンキュージャパンの「フリッカーフリー」対応ディスプレイ |
液晶ディスプレイの前に扇風機を置くと、ちらつきが発生しているモデルは羽の部分に縞模様(モアレ)が見える。写真右が従来のモデル、写真左が今年(2013年)発売されたフリッカーフリー対応モデル |
『目に優しい』機能は、すべてラインナップに入れていきたいコンセプトです。基本はユーザーフレンドリーだと思うんですね。その面でも目に優しいフリッカーフリーやブルーライトカットは、まさしくユーザーフレンドリーですので、ぜひ使っていただきたいですね。
現在の液晶ディスプレイ市場は、どんどんコモディティ化しています。このような状況で事業を進めていく以上、どこに付加価値を持たせるかが重要です。1つは『目に優しい』という基本的な付加価値をすべてのラインナップに持たせて、もう1つとして特定用途向けに付加価値モデルを取り扱っていこうと。その点では、グラフィックス業界も高付加価値を認めていただける市場と考えています。現状ではCAD/CAM業界向けの製品はまだ少ないのですが、特定の分野で特定のユーザーにマッチする製品を、どのように展開していくかが今後の課題です。
さらにもう1つ、現在のPC市場は縮小傾向で、タブレットなどに移り変わっていますよね。PC市場と同様に、ディスプレイ市場が縮小していくのは仕方のない面もあるのですが、だまって見ているわけにはいきません。そこで、製品をどう使っていただくと便利なのかを考え、例えばスマートフォンの映像をMHLで映し出せるような製品も展開していきたいですね」
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