ベンキュージャパンの液晶ディスプレイと言えば、コストパフォーマンスの高いモデルをイメージする人が多いだろう。最近では従来の低価格なモデルに加え、ちらつきを抑えて目の疲れを軽減する「フリッカーフリー」対応モデルや、特定市場で活躍するプロフェッショナル向けのハイエンドモデルも積極的に展開している。その理由と今後について、BenQ本社とベンキュージャパンの方々に話をうかがった。

左からBenQのディスプレイ担当プロダクトマネージャー Scread Liao氏、ビジネスマネージャー Grace Chien氏、アジア太平洋地域マーケティング部門ディレクターのSunny Chang氏、ベンキュージャパン代表執行役社長の沢尾貴志氏

液晶ディスプレイは「大型化」と「高付加価値化」がトレンド

―― 液晶ディスプレイ市場における世界的なトレンドについて、どのようにお考えなのか教えてください。

Liao氏「コンシューマー市場で見ると製品の値段が下がったとこともあり、液晶ディスプレイの『大型化』が進んでいます。また、特定のユーザーを対象とした高付加価値モデルの流れもあります。我々は『バーティカルマーケット』と呼んでいるのですが、グラフィックデザインやCAD/CAMといった、特定業務に携わるプロフェッショナルなユーザーをターゲットにした市場が拡大していると思います。

BenQとしても、そのバーティカルな市場に対して製品を投入するつもりです。さらに一般のコンシューマーユーザーに対しても、弊社の『フリッカーフリー』や『ブルーライトカット』といった目に優しい技術をアピールすることで、コモディティ化している液晶ディスプレイ市場の流れに、新たなバリューを加えたいと考えています」

沢尾貴志氏

沢尾氏「BenQはさまざまな製品をワールドワイドに展開していますが、すべての地域でまったく同じモデルを販売しているんですね。製品の中身はもちろん、箱や説明書まですべて同じものです。日本法人では日本の市場に合う製品を選びマーケティング展開していくのですが、日本市場はワールドワイドな市場とは違った特徴があるんですよね」

―― 日本の液晶ディスプレイ市場には、どんな特徴があるのでしょうか?

沢尾氏「世界市場には先進国と新興国の流れが存在すると思うのですが、それぞれ大きく異なると考えています。新興国については予算重視の傾向が強く、サイズが小さくて価格の安いエントリーモデルが人気です。一方の先進国は『目に優しい』ですとかサイズが大きいといった付加価値があると、多少値段が高くても買っていただけます。

その中でも日本の市場は特に、品質重視の傾向が強いと思います。日本のユーザーからいただいた意見を本社に伝えると、『そんなことほかの国では聞いたことがない』とよく言われるんですよね。例えば製品の組み立てがちょっと難しかったり面倒だったりすると(編注:画面部分とスタンド部分の組み立てなど)、日本では『どうにかして欲しい』という意見をいただくのですが、海外ではそのようなことはありません。

ただしその分、日本では製品の品質が高ければ、ほかの先進国よりも買っていただける市場だと思っています。そこでいかにフリッカーフリーやブルーライトカットといった要素を特徴付けしつつ、サービス面を強化していくかが私の課題ですね。これまでコストパフォーマンスの高さを製品のウリにしてきた部分はあるのですが、今後は付加価値の高い製品を展開していくに当たって、サービスやサポートを含めてユーザーの皆さまにより満足してもらえる展開を考えています」

ユーザーや専門家の意見を製品開発に反映

Scread Liao氏

―― 液晶ディスプレイ開発においてBenQがこだわっている部分はありますか?

Liao氏「液晶ディスプレイを開発するとき、まずターゲットオーディエンス、つまりどんなユーザーに向けた製品なのかを検討します。例えばグラフィックス市場向けの『PG2401PT』では、最初に印刷会社やデザイン会社を訪問してインタビューを行いました。そこから拾い上げた意見をもとに、どのような特徴を加えるかを考えながら設計を始めています。フリッカーフリーやブルーライトカットも、眼科医とのミーティングから実現した技術です。

また、本体のボタン類やOSD(ディスプレイの設定メニュー)といったインタフェースのデザインについても、ユーザーの意見を取り上げながら内部でディスカッションを重ね、使いやすさを追求しています。ゲーミングディスプレイの場合も、BenQがサポートしている海外のプロチームから意見を聞いて、設計時にフィードバックしています」

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