――海外アニメのアフレコということで、何か意識することはありますか?

田谷隼

田谷「僕はもともとアニメより外画の吹き替えの仕事のほうが多いので、あまり違和感はないですね。吹き替えの場合、向こうの方の演技、向こうで作られたヒックという形があるので、それを崩さないようにしながら、自分自身の考えを上手く折り合わせて混ぜていくのが難しい部分であり、楽しい部分でもあります」

――キャラクターが出来上がっていますからね

田谷「その限られた枠の中にも動ける範囲があって、その中で自分なりの思いをぶつけてみたりしています。それが良ければ採用されますし、ダメなら直される。やっぱり役者なので、自分でやりたいことはぶつけていきたいと思っています」

――田谷さんなりのヒックに対する解釈などはありますか?

田谷「基本的にはあまりブレてはいないと思います。ただ最初は成長していくヒックというところがネックで、劇場版のときの、コンプレックスを抱えている印象が強かったのですが、テレビ版だとちょっと自信がついている。最初の頃はなかなかそこをうまく演じられなかった部分もあったのですが、回を重ねるごとに彼を理解していけたので、全体としては上手く演じられているんじゃないかと思っています」

――海外アニメの吹き替えについて寿さんはいかがですか?

寿「海外のアニメの場合、台本どおり進めていけるところはいいのですが、ときどき口が開いているのにセリフが入っていないところがあったりするんですよ。声にならないセリフみたいな感じなんですけど、日本のアニメだったら必ず何かのセリフを入れなければならないところでも、入れるか入れないかの取捨選択みたいなところがあって、ちょっと面白いなって思っています。そういう面はすごく新鮮ですし、そこにもちゃんと自分の想いを込めて作っていきたいですね」

――オリジナルの演技に影響される部分はありますか?

田谷「最初は台本だけをもらうので、まずは文字でチェックするんですけど、その後に映像を観ると、たとえば驚いているリアクションなどは、海外ならではというか、自分で想像していたのとはまったく違う表現になっていたりすることがあります。そのあたりがすごく面白くて、こういう驚き方もあるのかって参考にしたりすることもあります」

――海外の演技にリアクションを合わせるのですか?

田谷「基本的にはオリジナルのリアクションに合わせますが、日本的なリアクションのほうが面白いと思ったら、変えて演技しています」

寿「実際にアスティを演じている人に近い演技をしたいなと思っていますが、やはりシーンによってはイメージとちがっているところもあるので、そこは画にあわせて臨機応変に対応しています。外国語と日本語の両方を同時に流しながら観る方はあまりいらっしゃらないと思うので(笑)」

――いよいよ作品も後半戦に突入しますが、まずは前半の見どころを教えてください

田谷「テレビシリーズは劇場版の続きになるのですが、特に前半はドラゴンを受け入れることへの軋轢があったりして……やっぱり異物を受け入れるわけですから。だから最初のころはドラゴンとの共存というのがテーマになっているのですが、後半になるとそれよりも、仲間であること、というのがテーマになっていきます。そういう意味で、前半部分は、ドラゴンたちを受けいれられるまでの過程がけっこう心温まるお話になっていたりします。特に第3話、雪山で遭難する話が僕は好きですね」

寿「いいお話ですよね」

田谷「ドラゴンが助けてくれたり、別の動物がドラゴンの輪の中に入ってきたりするんですけど、異なった種族が仲良くしていくというあたたかいお話です。ドラゴンが段々みんなに受け入れられて、仲間、家族になっていく……そういうのが好きなんですよ」

――ぜひ3話に注目してほしい?

田谷「3話もですが、全部観てほしいです(笑)」

――寿さんはいかがですか?

寿「映画からの続きということで、やはりドラゴンとの共存が大きなテーマになっていますが、それ以外にも、映画では見られなかったキャラクターの一面などが、ちょっとずつ出てくるので、そのあたりも楽しんでほしいです」

――寿さんの好きなエピソードは?

寿「田谷君と同じ3話なんですけど、映画ではあまり描かれていなかったヒックとアスティのラブみたいなところがちょっとだけ出てくるんですよ(笑)。逆にそこ以外は全然出てこないので、やっぱり3話に注目してほしいです」

――ヒックとアスティは今後どうなるんでしょうね

寿「どうなるんでしょう。楽しみです(笑)」