最後に紹介するのは「ONE PIECE THE MOVIE カラクリ城のメカ巨兵」だ。2006年3月に公開された本作だが、注目なのは声優である。というのも、チョッパー役を務めている大谷育江が体調不良により参加しておらず、代役として伊倉一恵が登板しているのだ。麦わらの一味の声優で、代役が映画に出演するのは本作が初めてのこととなる。
言うまでもなく、声優はキャラクターの印象を決める重要な要素だ。特にチョッパーはONE PIECEの主要キャラの一人であり、もうずっと同じ声なのでイメージも固まっている。そこへきて伊倉一恵の代役登板。いったいどんなチョッパーになっているのだろうか。
新鮮な気分と若干の不安を抱えて見てみると……これがちゃんとチョッパーなのだ。伊倉一恵といえば『シティーハンター』の槇村香役や『ロビンフッドの大冒険』のロビンフッド役、『サクラ大戦』シリーズのレニ・ミルヒシュトラーセ役などで知られているが、そのどれとも違う、"伊倉一恵のチョッパー"であった。
具体的にいうと、いつもよりもほんの少しだけ大人っぽいチョッパーとでも言おうか。もちろん大谷育江とは違う声なのだが、「これはこれでアリだな」と思わせられるのだ。
不思議なことにチョッパー役が変わっただけで、何となく普通のONE PIECEとはまた違った魅力を感じることができた。もちろん、「メカ島」を舞台に二転三転するストーリ自体が面白いものであることは言うまでもない。普段とはちょっと違ったONE PIECEを楽しめる本作は、ファンなら絶対におさえておきたい作品だ。
裏方に注目したいONE PIECE劇場版アニメを3作品紹介したが、いかがだっただろうか。普通に楽しむのもいいけれど、たまにはこうして裏方に注目してみると、いつもとは少し違った視点でONE PIECEを楽しむことができる。これを機に、他の作品でも映画監督や脚本家、声優などに注目してみても面白い。
今回紹介した3作品を含め、WOWOWでは劇場版ONE PIECEの全話特集「18時間一挙放送!「ワンピース」の日」が放送される。初の劇場版「ONE PIECE ワンピース」から最新作「ONE PIECE FILM Z ワンピース フィルム ゼット」まで、12年に渡る劇場版ONE PIECEの歴史をたった一日で振り返ってしまおうという贅沢な企画だ。
詳細はこちらのページをご覧いただきたいが、当記事でも紹介しきれなかった個性を持つ各作品を、ぜひこの機会に楽しんで欲しい。