そしてこの日のハイライトは、すっかり日も暮れた18時半。町会議のエンディングのさらにその後だった。
いったんメインステージが閉じられ、出演者全員と熱気冷めやらぬ観客全員で、アニメ「進撃の巨人」主題歌「紅蓮の弓矢」を大合唱する。TVサイズを5ループするこの演出は、この夏に開催されたニコ動系ライブイベント「ダンスマスター5」や「ミュージックマスター」でも大好評だったものだ。
盛り上がり必至の大合唱の後、閉じられていたステージが再び開いた。そこにいたのは小林幸子!
なぜ小林幸子がニコニコ動画のイベントに出演するのか。実は小林幸子はニコ動と縁の深い歌手なのだ。
もともと小林幸子は紅白歌合戦での派手な衣装から、ネットでは「ラスボス」という愛称で親しまれていた。そこに目をつけたニコニコ動画の運営が声をかけ、ニコニコ生放送への出演が実現。コメントで若者とやりとりできるシステムを気に入った小林幸子は、それからさらにニコ動との距離を縮め、今年のニコニコ超会議内で開催されたライブイベント「ニコニコ超パーティー」ではついに生出演を果たしたのだ。
また、最近では自らのアカウントで「ぼくとわたしとニコニコ動画」(ヒャダイン作)を夏祭りバージョンにアレンジした動画を投稿。瞬く間に100万再生を突破するなど、大きな話題を呼んでいた。こうした経緯を踏まえれば、小林幸子が町会議に出演するのは別におかしなことではないのである。
……と、理屈では流れを理解していても、やはりこの小さなニコ動のステージに小林幸子が立って歌っているという姿はなかなか感慨深いものがある。普段のコンサートではおそらく少数派であろうティーンエイジャーの観客を前に、小林幸子は『風といっしょに』『ぼくとわたしとニコニコ動画』の2曲を披露。観客の盛り上がりもこの日一番のものとなっていた。
昨年に引き続き、今年も全国を巡ったニコニコ町会議。スポンサーがついているとはいえ、おそらくこのイベントも超会議と同じく赤字だろう。しかし、地方自治体との関係強化や全国のニコ動ユーザーへの還元は、将来的にそれを補って余りある効果をもたらすのではないか。
一方で、地方活性化の手伝いという点については、一年だけで終わってはあまり意味がないという意見もあるだろう。そのあたりも含め、来年以降に町会議がどんなイベントになっていくのか注目したい。