今年の4月27、28日に幕張メッセで開催された「ニコニコ動画」の祭典「ニコニコ超会議2」は、2日間で10万人を動員するなど大きな話題となった。すでに来年のゴールデンウィークには「ニコニコ超会議3」が開催されることも決定しており、今から楽しみにしている人も多いだろう。

そんな中、「ニコニコ動画」が昨年から始めた夏のイベントが「ニコニコ町会議」だ。町会議は「まちかいぎ」と書いて「ちょうかいぎ」と読む。言うまでもなく「超会議」に引っかけたダジャレである。

地方を盛り上げるニコニコ町会議

町会議はその名の通り、全国の市町村で開催される「ニコニコ動画」のお祭り。一つにはスケジュールと旅費の関係でなかなか超会議に参加できない地方のニコ動ユーザーのためであり、一つには地方活性化のお手伝いという目的がある。それ故に、ニコ動の単体開催ではなく、その地方のお祭りと併催されることがほとんどである。

今年は7月14日の岩手県・洋野町で行われた「たねいちウニまつり」との併催からスタートし、全国10カ所を巡った。残念ながら台風の影響で2カ所中止になってしまったが、それでも2カ月で8カ所というペースはかなりのもの。筆者も「ニコニコ生放送」で見ていたが、動画視聴者や地元ユーザーにも好意的に受け止められており、各地方のお祭り参加人数はどこも例年に比べて大幅に増加したようである。

さて、そんな「ニコニコ町会議」のファイナルとなる愛知県・名古屋市栄久屋大通り秋まつり開催が9月22日に開催された。しかも、今回はあの小林幸子も出演するという。ラストということもあるし、直接取材に行ってみることにした。現地の様子を写真でレポートしていこう。

久屋大通公園は、愛知県名古屋駅から電車で数駅ほど走った場所にある都市のど真ん中、テレビ塔の真下に位置する公園。町会議は通常、「市」ではなくもっと小規模な「町」か「村」で開催されるのだが、名古屋だけは明らかに規模が大きい。実は昨年も同じ場所で町会議が開催されており、そのときもぎっしりと公園が来場者で埋め尽くされていた。

場所はテレビ塔の真下

今年は昨年よりもさらに参加者が増えており、開会前からすでに公園内は地元のニコ動ユーザーでいっぱいとなっていた。なぜこんなにも人が集まるのかというと、ニコニコ町会議にはニコニコ動画で人気のユーザーが多数出演するからなのだ。

今さら説明するまでもないが、ニコニコ動画には「歌ってみた」や「踊ってみた」など、多くの一般ユーザーがそれぞれ得意とするパフォーマンスを動画にして投稿しており、中にはアイドル顔負けの人気を得ているユーザーもいる。そうしたAKB48よりもさらに身近なアイドルに会うため、数多くの若者が足を運んだというわけだ。もちろん、単にニコニコ動画という場が好きでお祭り感覚で参加しているユーザーもいるだろう。

12時に始まったオープニングセレモニーには、愛知県知事の大村秀章氏、そして名古屋市の名物市長・河村たかし氏も駆けつけてテープカットを行った。こうした"偉い人"が登壇してテープカットを行うのはニコニコ町会議の恒例行事となっており、ニコニコ生放送のユーザーが「ちょきん」という擬音を一斉に書き込むことで、一体感を高める演出がなされている。

大村知事、河村市長が駆けつけた

オープニング後は、メインステージと公園内の各所でさまざまなイベントが開催され、同時に露店なども出店される。このあたりのコンセプトは、超会議をぎゅっとコンパクトにしたものといえばわかりやすいだろうか。

ニコ動の人気ユーザーが行くところは常にファンでいっぱいに

こんな状態なので写真も撮れません

恒例となったニコニコカー神社。生放送視聴者を"神様"に見立てて訪れた人とコミュニケーションする

ニコニコカーはエヴァンゲリオン仕様

ニコニコカーの1号車は自由に落書きができるようになっていた

印象的だったのは、開催されているイベントがかなり"地方寄り"だったことだ。超会議のようにユーザーが主役のイベントであることは間違いないのだが、町会議の場合はさらにそこからもう一歩進んで、"地方の一般ニコ動ユーザー"が主役なのである。

例えば人気のユーザーがステージに出演してのライブステージなどもあるにはあるのだが、歌うのはだいたい1、2曲程度。それも、一般ユーザー参加型企画の「のど自慢」ステージのラストで披露するくらいで、超会議等に比べると控えめな印象を受ける。「踊ってみた」にしても、あくまでも主役は会場に訪れた一般参加者だ。人気の踊り手たちは会場内の広場で参加者たちにダンスレッスンをつけ、その後メインステージで一緒にダンスを踊る。「観る」というよりも「参加する」のが町会議の特徴だ。

大人気アナログゲーム「人狼」を町会議の来場者みんなで遊ぶコーナー

人気絵師のせらみかる、五月病マリオがライブペインティングに挑戦

露店もたくさん出ている

ライブペインティングの後は来場者全員の似顔絵を描くというコーナーも

物販は行列が絶えない

屋台にはニコニコならではの個性的なメニューも

テレビちゃん焼き

MCでありながら自らたこ焼きを焼く百花繚乱

ユーザーマーケットでは手作りの様々な作品が展示

夏祭りらしく輪投げも

メインステージで行われていた「のど自慢」は来場者参加型

地元で活動するバンドのボーカルも登場

のど自慢のラストにはニコ動で活躍する著名ユーザーが出演した

メジャーデビューも果たしたぽこたと事務員Gとのセッション

ぽこたと共にボーカルユニット「ルートファイブ」の一員として活躍するkoma'n

こんなサービスショット(?)も

メインステージではこの他、「町自慢」や「ご当地あるある」といったコーナーが行われる。こちらもMCを務めるのはニコ動の人気ユーザーで、出演するのは地元の有志だ。地方の特産品や施設、ゆるキャラなどの紹介が行われ、「ご当地あるある」では「名古屋では学校の休み時間を放課と呼ぶ」などの地元ネタで盛り上がる。ニコ動側がホストで、地元ユーザーがゲストという立ち位置は一貫している。ひとりよがりならぬ"ニコニコよがり"にならないイベント構成が、町会議が地方自治体に好意的に受け入れられた理由の一つだろう。……続きを読む