テクノポップユニット「Perfume」の近未来的なイメージを担うクリエイター集団・ライゾマティクス。彼らが先端技術を駆使して作り上げてきたPerfumeのための演出を一覧し、その裏側を体感することのできる展覧会「ライゾマティクス inspired by Perfume」が、東京都・新宿のNTTインターコミュニケーション・センター[ICC]にて開催されている。

会場入り口のタイトルロゴ

ライゾマティクスは、デザインやアート、建築、数学、工学など多様なバックグラウンドを持つメンバーからなるクリエイター集団。Perfumeの世界デビュー記念して展開されたWebプロジェクト「Perfume "Global Site Project"」は、カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバルや文化庁メディア芸術祭などのクリエイティブアワードを総なめにしたことは記憶に新しい。今回は、このプロジェクトやそれ以前の作品など、彼らがPerfumeのために制作してきたさまざまな作品を見ることができる。

光輝く3つのバージョンの衣装

会場に入ってすぐ目に飛び込んでくるのは、Perfumeのメジャー15枚目のシングル「Spring of Life」の衣装群。この楽曲には全部で3つの衣装が作られており、同楽曲のMVで描かれた近未来の世界観に合わせてデザインされた初代の衣装「Dress Ver.1」、「MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN (MTV VMAJ) 2012」に合わせて作られた「Dress Ver.2」、「第63回NHK紅白歌合戦(2012年)」のために制作された「Dress Ver.3」が一カ所に展示されている。

「Spring of Life」の衣装群。背中から伸びる何本ものケーブル、そして主電源が供給されるコードは、単なる装置としてだけではなく、MVなどの中でPerfumeがヒューマノイドに扮する際の演出としての役割も担っている

それぞれ別の場面で用いられた衣装が一堂に会し、曲に合わせて明滅する様子は圧巻だ。また、ドレスの電飾を制御しているのは会場に設置されているMacBook Proであるという。システム面に興味のある人は、各作品のパネル脇にあるMacBook Proにも注目してみてほしい。

左から、「Dress Ver.1」、「Dress Ver.2」、「Dress Ver.3」。上段が平常時、下段が曲に合わせてLEDが明滅している状態

来場者が"3Dデータ化"される体験型ブース

「Spring of Life」の衣装群の奥側に進むと、来場者体験型のブース「3D Scan System for Perfume」がある。これは、2013年6月に公開された「Perfume "Global Site Project #003"」ティザーサイトで利用したシステムを応用したもの。ファンがTwitterでハッシュタグ「#Perfume_um」を付けて投稿した数に応じてPerfumeの3Dモデルが現れ、3万件のツイートが行われると全身像が完成する仕組みとなっている。

来場者体験型のブース「3D Scan System for Perfume」。来場者がとったポーズの人型が目の前のスクリーンとティザーサイトに反映される

今回公開されている作品では、鑑賞者の全身を3台のKinectを用いて3Dスキャンし、取得したデータを「Perfume "Global Site Project #003"」ティザーサイト上に投影。3万ツイートが集まった状態、つまり全身像が完成した状態でサイトおよび会場のスクリーン上に現れる。ちなみに、Perfumeの3人の3Dデータ取得は同作品のような簡易な手法ではなく、赤外線の点パターンを照射して赤外線カメラで撮影し解析することで立体情報を取得する「Structured Light」、全方位からカラー・カメラで撮影し画像を解析および処理することで立体情報を取得する「4D Viewsシステム」など、7種類の3Dスキャン手法が用いられているということだ。

次のページでは、「カンヌライオンズ」で披露されたパフォーマンスの衣装や、3Dプリンタで出力したPerfumeのフィギュアを用いた作品を紹介する