次のチームのうち、一番早くミッションを成功させたのは次のどのチームだろうかという問題。

(A)チームメンバーの3割がみんなの意見に賛成する
(B)チームメンバーの3割が何事にも反対する
(C)チームメンバー全員が自由に意見を言い合える
(D)チームメンバーの3割が相互理解の促進に努力する
(E)チームメンバーの3割が聞き上手/褒め上手である

正解は、「(D)チームメンバーの3割が相互理解の促進に努力する」チームだったという。このチームは、誰かが意見を出したときに、グリーンカードの指示を受けた3人が必ず、「全員が理解できているのか」具体的な質問の上確認をした。すると、一番早くミッションを終了し、且つ独創的なアイディアが出てきたそうだ。先ほど出てきた「チームに必要な能力」の「コミュニケーション」をフルに発揮した例だと言えるだろう。

一番パフォーマンスが悪かったチーム

カフェ内には宇宙服のレプリカも飾られている

反対に、一番パフォーマンスが悪かったのは「(B)チームメンバーの3割が何事にも反対する」。3名がとにかく反対をするので、話が進みようがない。

山口さん「この場合は、どうしても説得が難しいです。リーダーが反対者の意見のメリット・デメリットを提示して、それでも良いかきいてみること。また、危険ですが反対者に一度任せて失敗させるというのも手です。ただ、説得するにしろ怒るにしろ、みんなの前でやってはいけません」

ちなみに、実際に宇宙飛行士にこの訓練をさせるならば、先に「このような結果になるだろう」と意図を説明して行った方が身に付くそうだ。

実際の宇宙飛行士はどんな人?

それでは、実際に選抜される宇宙飛行士はどんな方なのだろうか?

山口さん「いつも背筋をぴんとのばしてきいてくれる人が多いですね。それを見るとインストラクターもつい、いい気になっていろいろと話してしまうんですよね。選抜試験でも、相手を尊敬して話を聞けているかは見てしまいます。付け焼き刃じゃない姿勢が出てきますから」

また今度国際宇宙ステーション(ISS)のコマンダーをつとめる若田光一さんは、何か意見を言うときも必ず相手をほめてくれるという。例えば機器の操作が悪いときに「この設計、すごくよくできてますよね。でも、こうしたらもっといいんじゃないでしょうか」と言われてしまうと、悪い気がしないため、素直に聞けるそうだ。

山口さん「宇宙飛行士選抜の最終面接では、チームの中で自分のほかにあと2人、宇宙飛行士として選ぶとすれば誰が良いか、という質問をします。みんなそれまでの試験で仲が良くなっているので、すごく、泣きそうな顔をしたりするんですね。ただこの質問で大切なのは誰を選ぶか説明できるということ。例えば油井亀美也さんは自分とタイプの違う方を選びましたが、これは能力を補い合えるというチームパフォーマンスの観点からの回答でした。とても筋道が通ってますよね」

宇宙という極限空間でのチームワークだが、もちろん地上においても学ぶところだらけ。ワークショップを終えても山口さんへの質問の列が絶えなかった。

346万5,000円の隕石も売っている

漫画家の和田ラジヲ氏が人工衛星を擬人化したイラスト

今回のワークショップが行われた「人工衛星 胸キュン カフェ」は東京都渋谷区宇田川町12-18 東急ハンズ渋谷店7階 HINT7。開店日時は9日~10月14日、10時~20時30分。宇宙を題材にしたオリジナルカフェメニュー、隕石や宇宙にまつわるグッズの販売が行われている。