「自由に生きる」ということの意味
――自分にとって"宇宙海賊"という世界観に出会ったのはハーロックが初めてでした。宇宙で海賊をするという設定になったのはなぜだったのでしょうか?
宇宙は将来人類が自由に駆け回る広大な新世界だと思ったものですから。そこにはあらゆる目的の人物がいていい。自由に生きるハーロックも、その一人とし存在しているわけです。弱いものを傷つけることは許さない、という断固たる思いを持ち、私利私欲のために飛んでいるのではない。志を全うしようとする人を助ける海賊、義賊なんです。
――ニヒルで一匹狼のような見た目ではありますが、とても仲間を大事にする一面がありますね。
トチローという親友がいまして、これが先祖代々の親友なんです。『ガンフロンティア』で、明治維新の時に瀬戸内海で出会った。『男おいどん』に出てくるのもそのトチローです。(ハーロックと共にいる)トリさんも、『男おいどん』に出ているトリさんの子孫なんです。その先祖もまた『ガンフロンティア』で西部を旅して、別れて、また日本で出会って……と、何世代にもわたる親友なんです。彼は体を失ったけれど、心はアルカディア号に残っている。船がトチローそのものなんです。
やっぱり、友人というものがいかに大事か。人は生涯孤独では生きられません。親友がいて、ともに助け合い、それで成り立つわけです。ひとりぼっちではダメだよと。私にも親友がいます。もうこの世を去りましたけど、それでも生涯を共にした親友というのは、懐かしくかつ力強いものですよ。
――先生にとっては、ハーロックも生涯を共にした親友のような存在なのでしょうか?
親友というよりは、自分自身と同じ事です。ずっと一緒です。私もアルカディア号の乗組員です。子供の頃からずっとアルカディア号に乗って旅をして、私の世界をさまよっているわけです。まだ宝島にはたどり着けないし、あるかないかもわからない。しかしそこへ向かって突き進んでいるんです。
でも、自分が選んで、自分の判断で乗ったんです。あろうがなかろうが、失敗しようが成功しようが、自分の責任。人のせいにはできない。志というのはそういうものですよね。だから人の志で動いてはいけません。自分の志、信念で動けと。そうでないと、あいつのせいでこうなったという言い訳になる。言い訳はしたくない。"俺の旗のもとに、俺は自由に生きる"ということです。
――まさに同じメッセージが今回の作品にも込められていますね。
こだわりがありますね。自らの志で生きろ、そのかわり後悔はするな。後悔をするなら最初からやるなと(笑)。これが一番大事なところです。ずっと一貫して同じです。これからも変わりません。
――これからもというと、さらなるハーロックの活躍もあり得るのでしょうか?
私の頭の中には次の構想が頭に浮かんでいます。次はここまでやるぞ、というね(笑)。まだまだこれから。(今作は)文字通り、ハーロックの新しい船出ですね。しばし眠っていましたが、再び旗を掲げたというわけです。
荒牧監督が特別編集! 『キャプテンハーロック』ディレクターズ予告編
(C)LEIJI MATSUMOTO/CAPTAIN HARLOCK Film Partners