今回、ダンマスに出演したのは31組。ここに、同じくニコニコ動画の「歌ってみた」で活動するユーザー数名と、「演奏してみた」で活動する演奏陣が加わり、出演者は総勢100名以上にも及んだ。
今回のダンマス、そしてこれまでのダンマスをすべて見てきて思うのは、3年経ってもやはりダンマスはニコニコ動画のイベントだなぁということだ。出演者はとにかくバラエティに富んでおり、5歳の幼児から壮年男性まで年齢も性別もバラバラ。プロとしてステージに立っているダンサーもいれば、ダンス経験ゼロのまま動画を投稿するアマチュアもいる。そうかと思えば、「踊ってみた」タグをつけてはいるものの、そもそもそれは踊りなのかと問いたくなる出演者もちらほら見受けられる。
だが、それでいいのである。プロでもアマでも、真面目でもネタでも、踊りと呼べるかどうか怪しいものですら許容するのがニコニコ動画の「踊ってみた」カルチャーであり、その緩さ故にここまで発展を遂げることができたのだ。そしてダンマスが「踊ってみた」の祭典である以上、それらを凝縮した実に"濃い"空間になることは、言うまでもないことなのである。
ダンマスは、オープニングアクトに出演者全員が登場して"つかみ"となるダンスを披露。その後は、個人、またはチームごとにパフォーマンスを行うという流れで進行する。BGMとして使用されるのは、ほとんどがボカロ曲かアニソンだ。それも、ニコニコ動画内で一度は流行したことがある曲ばかり。これが観客と出演者の不思議な一体感を演出するのだ。
ダンマス出演者は「踊ってみた」ユーザーではあるものの、必ずしも全員が数十万、数百万という再生数を叩きだすアイドル顔負けの人気を誇っているわけではない。毎回のようにエントリー枠が設けられており、たとえ再生数が少なくても、まだまだ知名度が低くても、出演できるチャンスがある。今回のファイナルでも、そうした出演者は何人もいたし、それなりに「踊ってみた」をチェックしている筆者も知らない踊り手が多く出演していた。
そうした出演者にとって、いきなり2,000人規模の大舞台で踊るのは非常に度胸がいることだろう。しかし、前述したような「ニコニコカルチャーの一体感」が出演者と観客をつなぐ架け橋になっているため、おそらくあまりアウェイ感に悩まされることはなかったのではないだろうか。少なくとも、筆者は望遠レンズで彼らの表情をとらえながらそう思った。
さらに、ファイナルとなったダンマスでは、これまでなかった趣向がラストに用意されていた。まずは、第1回開催時に惜しまれながら解散したダンスユニット「perfumen」が一夜だけの復活を果たしたこと。そして、これまでのダンマスに出演していた人気ユーザー「てぃ☆イン!」や「恐怖。」らがスペシャルゲストとして登場したことである。
これは本番まで誰にも知らされていなかったサプライズで、観客はもちろん、ステージ上の出演者も驚きの表情と歓声で彼らを迎えていた。最後ならではの運営の粋なはからいといったところだろうか。
また、アンコールも含め、すべての演目が終了した後、最後のサプライズが発表された。スクリーンに映し出されたのは、「新生 踊ってみたの祭典」の文字。
そう、ダンマスは終了するが、それに代わる新たな「踊ってみた」のイベントが始動するのである。詳細は不明だが、開催は来年を予定しているとのこと。ダンマスを終わらせてまでスタートさせるからには、おそらく相応の驚きをもたらしてくれるイベントになるはず。「踊ってみた」ファンのひとりとして、その時を楽しみに待ちたいと思う。