マウスコンピューターが同社ゲーミングPCブランドの「G-Tune」にて発表した高性能デスクトップ「MASTERPIECE a1500BA」は、AMDの新型CPU & GPUである「AMD FX-9590」と「AMD Radeon HD 8990」を、世界中で見ても先駆けて採用した注目マシン。このCPUとGPUはOEM向けに限定出荷され、単体では一般ユーザー向けに流通していないので、その意味でもa1500BAはかなり貴重なマシンだ。編集部で実機に触れる機会を得たので、その実力をチェックしておきたい。
AMDプラットフォームで最高峰! 豪華すぎる内部スペックを実現
なお、MASTERPIECE a1500BAの販売開始日は本日8月20日で、同社のオンラインショップやダイレクトショップで発売する。価格は基本構成でおよそ45万円という、かなり思い切った設定だ。そのa1500BAの最大の特徴は、冒頭でも述べたように、なんと言っても採用しているCPUとGPUだろう。商用のCPUとして世界初の5.0GHz(Turbo Core時)の動作クロック達成をうたう「AMD FX-9590」、このPCのためにMSIと共同チューニングしたという「AMD Radeon HD 8990」搭載デュアルGPUカードを採用している。ともに、一般のリテール市場には流通しないOEM向け限定のパーツだ。
FX-9590については、モデル番号の千の桁の数値こそ1ランク上げているものの、PiledriverコアのVisheraベースの既存AMD FXの、単純なクロックアップ版となるのでわかりやすく、性能もクロックアップ分、既存のAMD FX比でリニアに上がっていることだろう。これまでの最高クロックが、FX-8350の4.0GHz(定格)/4.2GHz(Turbo Core時)であったので、Turbo Core時5.0GHzはかなりのインパクト(TDPが200Wを超えてきたのもかなりのインパクトだが)。なおAMDでは、FX-9590にあわせて、FX-9370という9000番台のAMD FXも公開している。既存AMD FXとのスペック比較は以下の表にまとめておく。
■AMD FXスペック比較 | |||
モデル | AMD FX-9590 | AMD FX-9370 | AMD FX-8350 |
---|---|---|---|
CPUコア | Vishera | Vishera | Vishera |
製造プロセス | 32nm SOI | 32nm SOI | 32nm SOI |
パッケージ | Socket AM3+ | Socket AM3+ | Socket AM3+ |
定格クロック | 4.7GHz | 4.4GHz | 4.0GHz |
Turbo Core | 5.0GHz | 4.7GHz | 4.2GHz |
コア数 | 8基 | 8基 | 8基 |
L2キャッシュ | 2MB×4 | 2MB×4 | 2MB×4 |
L3キャッシュ | 8MB | 8MB | 8MB |
メモリサポート | DDR3-1866 | DDR3-1866 | DDR3-1866 |
TDP | 220W | 220W | 125W |
一方で、今回よくわからないのがRadeon HD 8990の方だ。AMD未発表モデルであるため、正式スペックは不明であるものの、GPU-Zなどで確認できる範囲では、GPUクロックが1000MHz、メモリクロックが1500MHz(データレートで6000MHz)、メモリバス幅が384bit×2、メモリが3GB GDDR5×2、SP数が2048基×2、28nmプロセスのMaltaベースとなっている。一部では、7000番台のSouthern Islandsシリーズから、8000番台はSea Islandsシリーズへと世代が移行し、GCNのバージョンも2.0へとアップデートされるとも言われていたが、このRadeon HD 8990については、ここまででは既存のGCN 1.0の「Radeon HD 7990」との違いが明確ではなかった。
■Radeon HDスペック比較 | |||
モデル | Radeon HD 8990 | Radeon HD 7990 | Radeon HD 7970 |
---|---|---|---|
GPUコア | Malta(?) | Malta | Tahiti |
製造プロセス | 28nm | 28nm | 28nm |
シェーダ数 | 2048基×2 | 2048基×2 | 2048基 |
テクスチャユニット数 | 128基×2 | 128基×2 | 128基 |
ROP数 | 32基×2 | 32基×2 | 32基 |
GPUクロック | 1000MHz | 1000MHz | 925MHz |
メモリクロック | 6000MHz | 6000MHz | 5500MHz |
メモリタイプ | GDDR5 3GB×2 | GDDR5 3GB×2 | GDDR 3GB |
メモリ接続幅 | 384bit | 384bit | 384bit |
DirectX | 11.1/SM5.0 | 11.1/SM5.0 | 11.1/SM5.0 |
「Radeon HD 8990」のGPU-Z表示。各項目の表示は「Radeon HD 7990」とほとんど一緒。なお、ドライバはCatalyst 13.4があたっていたので、このままベンチマークテストも実施している |
さて、Radeon HD 8990の件は後でベンチマークで細かく見てみるとして、先にa1500BAのほかのスペックを確認しておこう。CPUのTDPが桁違いに高いので、相当マザーボードを選びそうな構成だが、本機ではMSIのオーバークロッカー向けハイエンドATX「990FXA-GD80 V2」(AMD 990FX+SB950チップセット)を採用している。電源も強力で、80PLUS GOLD対応の1200W電源ユニットを採用。メインメモリはKingston HyperXシリーズのPC3-14900対応モジュールを計16GB(8GB×2)。ストレージはSamsung 840 PROシリーズの256GB SSDに、3TB HDDを組み合わせている。
メモリも高級品で、Kingston HyperXシリーズのPC3-14900対応モジュールを計16GB |
ストレージは標準でSSD+HDDのツインドライブ。HDDは後々の換装が容易なHDDケージに収められている |
ケースは同社フラグシップゲーミングの証でもある、アビーと共同開発した専用タワーケースで、エアフローやメンテナンス性はもともと水準が高い。そこへ、本機では5.0GHzで駆動するTDP200W超えのCPUを冷やす役割を担う冷却ユニットとして、水冷ユニットも組み込んでいる。水冷ユニットは120mmサイズの冷却ファン/ラジエター一体型のCooler Master Seidon 120XLがベースで、さらにCPUの冷却ヘッドの直上あたりに、熱溜まり解消用の120mmファンも追加している。ケースの基本設計が当初よりハイエンド志向ということから、これだけの重装備であっても、ケース内部のパーツ配置がきれいにまとまっているのも、流石はフラグシップの"MASTERPIECE"と言える部分だろう。