いずれにしても、10MHz幅でのサービスによって通信速度は順調に向上するとのこと。名古屋市でも同様の結果が出ており、宮川氏は、「周波数の追加もセルスプリットもなしに今までと同じやり方だと、ユーザーが増えれば必ず通信速度は落ちてくる」と説明。通信速度を安定させるための取り組みを続けていることをアピールする。

また、東京・池袋でも拡張したところ、一気に通信速度が向上したという。利用者の多い地域だが、この通信速度を安定させるための努力を続けていくとのことだ。ただ、池袋や新宿、渋谷、銀座といったユーザー数の多い地域は、「ユーザーの動きによって速度が全然違う」と宮川氏は説明する。日々の計測では、同じ場所でも時間帯が異なったり、隣の基地局に移っただけでも「(他社と)勝ったり負けたりする」と現状を説明する。そのため、「100カ所ぐらいで観測したというデータは、LTE時代では意味がなくなっている」と指摘する。

東京・池袋や新宿でも同様に向上している

ソフトバンクが出すこのデータも、「意味があってないようなものだが、意味があるとすれば、"誰が一番"というよりも、これぐらいのネットワーク水準の設計でどれくらいの投資をしているかの対比になる」と説明。加えて、「この議論はどこかで終息させなければいけないと思うが、一番ドベ(ネットワークが悪い)と言われるので、反論するために使っている」とのことだ。

このような現状の中、「一番こだわっている」というのが全国のパケット接続率のデータだという。9月8日の段階では、同社のiPhone 5における接続率は98.2%。それに対してKDDIのiPhone 5は96.5%。「この1カ月でほとんどのエリアをダブルLTEにしている」(同)ため、同社の接続率はさらに向上しているとのことだ。

一番のこだわりというパケット接続率。KDDIの800MHz帯対応のAndroid端末の接続率が提示されているのもポイント

こちらは全スマートフォンでの数字

また、auの800MHz帯対応のAndroidスマートフォンの結果を受け(接続率は96.7%だった)、宮川氏は、「おおよそのiPhone 5s/cの接続率も予想できる。(接続率で)追いつかれるほどではない。勝ち目はあるとみている」と自信を見せる。さらに同社のAndroid端末も含め、すべてのスマートフォンでの接続率は、ソフトバンクが97.5%、auが96.6%、NTTドコモが96.4%と話し、この結果を見て、宮川氏は、「色々な使い方をしている人がいるので、常に買っているわけではないが、ボロ負けと言われるほどの結果ではない」とアピールする。

ピンポイントの対策で接続率を改善

こうした数字の背景として利用されているのが、同社の子会社であるagoopが提供している、「ラーメンチェッカー」や「Wi-Fiチェッカー」、ヤフーの「防災速報」といったアプリに組み込まれている、通信状況の取得機能だ。iPhone向け、Android向けに提供され、キャリアを問わず利用されている。全体ではすでに330万件のダウンロードに達し、アクティブユーザーは「約半数」(agoop代表取締役・柴山和久氏)。これらのユーザーが、iPhoneでは移動時、Androidでは30分おきにバックグラウンドで通信を行い、パケット通信が成功するかどうかをチェックし、その情報を収集している。