――登場人物それぞれに個性がありますね。特にあの白石というエロいおじさんも…。
ははは、ありがとうございます(笑)。認められてないときって足元見られたりだとか、女性だと結構セクハラっぽいことだとか、悩みとかあるかなと思って考えました。
――あとは後半で、元カレが登場しますよね。すごくいいシーンだと思います。
すごく、うれしい! やっぱり、自分もモデルをやっていて原点に帰るところがあるんですけど、それは自分のやってきたところや住んでいた場所よりも、ずっと一緒にいた人とかその時励みになった人とか。会うとその時の自分にすとんと戻れるんですよね。そういう人って大事だなと思います。
――こういう仕事をしていたら、ショックを受けたり、あまりよく書かれないこともあると思うんですが、そういう時には身近な人が支えになったりするんですね。
しますね。昔から変わらない友だちとか。あとは、前は嫌だと思っていたのに、実はいい人だったとか、実はそう思われていたとか。それがあるだけでも、人生が豊かになるというか。悪いことばっかりじゃないなと思えますよね。
――フィクションとはいえ、押切さんの経験が根底にあるんだろうなと思いながら読ませていただきました。登場人物の中には、実際に押切さんの周りにいる人も?
実際の人は本当にいないですね。でも、メイクの田崎さんという人物がいるんですけど、外見は実際にいる人を参考にしています。あんなおネエキャラではないですけど。そのあたりは勝手に妄想しながら書いていて。ヘアメイクさんのイメージってガタイのいいおネエって想像されやすいですよね。
――やはり有能なヘアメイクさんは、メイクの腕だけではなく、今回の物語のように会話で助けられている部分はありますか。
(現場のヘアメイクに笑いかけ)ありますよ! やっぱり、みなさんひたむきにやっていて、嫌な現場や嫌な仕事もあるだろうけど、モチベーション高めに毎日作業をやっていると思うので、そういう実直さみたいなのに元気づけられたりします。
私より全然年上なのに、すごく細かくメイクするなとか。やっぱりすごいんだなぁとか、手を抜かないんだなぁとか。
――モデルデビュー以来、そういう方をたくさん見てこられたわけですね。
そうですね。ただ、ブログとかでそういうことを書いても何にも面白くないので、ストーリーの中に少しずついれていけるということがフィクションの魅力だと思います。
――あとはマネージャーの西という人物が登場しますが、これは押切さんのマネージャーさんなのではないかと。
確かに近いですね。書いてたらそうなっちゃったんですよ。あんなマネージャーって、若くて仕事ない人にとってはすごく驚異というか、恐ろしくて。何にも笑顔もなく、ぶっきらぼうに言ってくるとか。そういう人もいていいのかなと思いました。あとは今までモデルを題材にした話とかだと、付き人みたいなマネージャーはいっぱい出てきたと思うんですよ。でも、実際はそうでもない人もいて、マネージャーも十人十色なんですよね。
――このまま映画にしても良さそうな内容だったんですが。映画化の話が来たらどうしましょうか。
本当に!? 考えてもないですけど…来たらどうするんだろう。まぁ…主人公の人にはがんばっていただいて…(笑)。数々の試練に耐えていただきたいなと思います。
――ストーリー展開では、カメラマンの敦高と瞳の関係も気になりますよね。
結末はすごくロマンチックな内容で書いたこともあったんですけど、やっぱりいらないやと思って消しちゃったんです。あとは、見ていたテレビ企画と同じ展開になっちゃったんですよ。このあとどうなっちゃうんだろうっていうふわっとした感じの方がいいと思いますし、実際の恋愛もちょっと気になる相手とかだと今日明日に結果出なかったりするじゃないですか。1回食事に行っても、その後2カ月ぐらい何にもなかったりとか。しかも仕事上の関係もありますから、勇気がいりますよね。
――憧れの存在としてセイナというキャラクターが登場しますが、押切さんにもそういう存在はいらっしゃったんですか。
いましたね。その人はセイナと違って性格はいいですけど。憧れのモデルさんや、初めて現場に入って驚いたモデルさんはいっぱいいました。
私が『CanCam』入った時、長谷川京子さんとかいたんですよ。ロケバスで2人きりになったこともありましたし、すっごく優しくしていただいて。……続きを読む。