立体感と質感の表現
線画の次は塗りへ。立体感を表現する影や、質感表現のポイントが紹介された。
最初に全体に色を置いたら、光の方向を設定し、大きく影の形をとっていく。次に、形の柔らかい部分は境界をぼかすなど変化をつけ、形を明確にしていく。そして、布のシワなど細かい影を加えていくことで、形がぐっと引きしまって見えるようになった。
金枝氏は、立体感を描くために重要なのは「モノをきちんと見ること。想像だけで描かずに、資料を見たり日常生活の中で観察して、モノの形を意識してほしい」と、"見ること"の大切さを強調した。
続いて、質感の表現について。修正前の作品は質感の描き分けが不十分で、全体的に均質に見える。ここでは羽賀氏により金属・水晶・髪の塗り方を実演された。
金属は、大きくベースの色を入れてから、コントラストで形を表現。最初から細かいハイライトを入れず、形を意識するのが大事だ。また、明部に色相が少し異なる色を置いたり、ハイライトの隣に暗い色を置くことで、硬さやツヤが表現される。
水晶・ガラスのような透明なものは、内側に入る透過光や、光源とは反対側の反射光を拾っていくことで透明感が見えてくる。さらに影のラインを整え、形に合わせたハイライトを入れると、硬さの表現につながる。
髪は毛束を意識する。修正前は束が細かくリアル寄りの表現だが、デフォルメされた絵に合わせてぽってりと塗り、横のハイライトをプラス。その下に少し暗い色を置くことで、丸みが強調される。
全体を見比べると、修正後は硬いものと柔らかいもの、透明なものとソリッドなものの質感が明確になり、全体の密度が高くなった印象だ。
ここまでが、セミナーの前半で語られた内容となる。後半では、背景やエフェクトをブラッシュアップしていく様子をお届けする。