果たして富士山の展望は……

長尾山を過ぎたあたりから、われわれも雲の中に入ってしまったようで、まわりの白色がどんどん濃くなってくる。登山道にはところどころ岩が出ていたり、大きな段差があったりと険しくなってきたが、岡野さんは疲れも見せず、軽快な足取りで登っていく。前方には樹間から金時山のこんもりとした山頂が顔をのぞかせていた。

岩がむきだしになった急な段差がところどころに。ここではロープを補助に、慎重に登る

最後の登りの途中で、高度を計測。「1,189m」と表示されたので、頂上まで残り20mほどであることが分かる。こうして高度を確認することで、自分の現在地を把握

急な斜面を登りきり、樹林帯から飛び出すと、そこが金時山の頂上だった。休日ということもあり、広い山頂には人、人、人。そして、肝心の展望はといえば……残念ながら、白い雲のヴェールに覆われたままだった。

金時山の山頂は、休日ということもあり、大勢の人で賑わっていた

山頂の看板のそばには撮影用のまさかりがおいてあるので、記念撮影時にぜひ!

晴れていれば、こんなすばらしい富士山の展望が。金時山が人気なのもうなずける(写真は冬の景観。箱根町ホームページ / 箱根フォトライブラリーより)

まずは高度を測ろうと、PRW-3000を高度計測モードに。表示は「1,207m」。金時山の標高は1,213mなので、誤差は6m。今日のように天候が不安定で気圧も変化しやすい環境であるにもかかわらず、わずかな誤差ですんだのは、途中で一度補正をしたおかげだろう。

こちらは筆者が付けていった「PRW-3000-1JF」(ダークグレー)

コンパス(方位計測)モードで地図の整置

次に、地図の整置をしてみる。整置とは、地図と実際の風景を対応させることで、自分がいる位置を把握したり、遠くに見える山を地図と照らし合わせるのに役立つ。PRW-3000を方位計測モードにして、方位計が指し示す北と地図の北を合わせる。従来のPRO TREKは連続計測時間が20秒だったため、慣れていないと整置している途中で計測が終わってしまうこともあったが、PRW-3000は60秒もあるので、「整置するのは初めて」という岡野さんでもゆっくりと確実にできる。

方位計の北と地図の北を合わせて、地図を整置。晴れていたら見えていただろう景色を想像する

整置の結果、富士山は西北西方向にあることが分かった。「ちょうど山頂の看板の向こうに富士山が見えるんですね。見たかったなぁ」と岡野さんも残念そうだ。

昼食を食べたあと、山を下りる前に再び高度を補正。さらに、せっかくなので、メモリー機能を使って、金時山の標高1,213mを記録することにした。記録した高度は、データリコールモードで日付、時間とともに見ることができる。

岡野さん「富士山の頂上で高度を記録できれば、登頂記念にもなりますね!」

初めて多機能時計を使ってみて、岡野さんの中には自分の登山に活用できるアイデアがいろいろ浮かんできているようだ。

高度を1,213mに補正したあと、記念に標高のデータを記録。写真はデータリコールモードの表示で、記録した標高、日付、時間を見られる。最大30の標高データを記録できる

山頂で気温も測ってみた。温度計測は、体温や湿気などの影響を受けないよう、腕から時計を外し、水分を拭き取り、直射日光の当たらないところに20~30分ほどおいておく

ビギナーにも、経験者にも

下山後、岡野さんにPRW-3000を使ってみた感想を聞いてみると、次のように話してくれた。

岡野さん「多機能の腕時計って、もっとごつい印象がありましたけど、このPRW-3000はコンパクトで腕にもなじみますよね。それにオレンジのカラーもかわいい。細かい機能はまだまだ使いこなせていないけど、とりあえず高度、気圧・気温、方位の計測が右の3つのボタンですぐにできるのは、分かりやすくていいですね」

筆者自身、10年以上PRO TREKを愛用しているが、PRW-3000は高度計測が1m単位になったり、ボタンを押してからたった1秒で数値が表示されたり(従来モデルは高度計測に5秒ほどかかっていた)と、性能が劇的に向上していることが実感できた。

ビギナーにとっては使いやすく、経験を積んだ登山者にとっては山でのさまざまなシーンに対応できる充実した機能を備えてくれている。大げさではなく、山を登るすべての人におすすめしたい時計だ。……という筆者自身も、本気で購入を検討中である。