そして大画面化の原動力という点で、もうひとつ見逃せないのが、4Kとの組み合わせだ。

4Kは、まだ放送が始まっていないなど、普及に向けた地盤づくりはこれからだが、それでも大画面化において、重要な役割を担っている。

大画面化における課題のひとつに、大画面になるほどが画素の粗さが目立つ点があった。しかし、フルハイビジョン(1,920×1,080ドット)の約4倍となる3,840×2,160ドットという表示画素数を持つ4Kによって、フルHDの画像においても、従来のフルHD対応テレビ以上に精細感を引き出すことが可能になり、画素の粗さを克服できる。実際、フルHDでは、約207万画素であるのに対して、4Kでは約829万画素を実現。その差は、大画面化すればするほど、効果が発揮されることになるのだ。

このように大画面化の動きは、テレビ需要の回復の起爆剤のひとつとなっている。

ソニーでは、「伸びているところにニーズがある。ソニーとしてもそこにラインアップを広げていく」とし、46型以上の製品ラインアップを拡充。中小型サイズのテレビはラインナップを絞り込む姿勢をみせる。これはソニーに限らず、テレビメーカー各社に共通したものだ。テレビ全体のラインアップを絞り込む傾向のなか、大画面モデルのラインアップは縮小しない方針を打ち出している。

そして、これが市場における平均単価の上昇や、販売店やメーカーの収益性向上にも寄与している。東芝の予測によると、50型以上の国内薄型テレビ市場の規模は、2013年度には前年比30%増の39万台、2014年度には52万台、2015年度には64万台に拡大すると予測している。

日本のテレビメーカー各社は、大画面化戦略を加速することで、それを需要回復の一歩にしようとしている。その成果は徐々に現れようとしている。