では、何がその原動力になっているのだろうか?
そのひとつが「大画面」である。全国有力家電量販店の販売実績を集計しているGfK Japanの調べによると、2013年6月の国内テレビ市場において、50型以上の販売構成比は数量ベースで10.4%、金額ベースでは31.2%となり、過去最高を記録した。同社によると、「数量ベースで10%、金額ベースで30%を超えたのは初めてのこと」だという。
大画面化が促進されている背景にはいくつかの理由がある。
顕在化しつつある大画面需要
ひとつは大画面に対する潜在的な需要が顕在化してきた点だ。シャープの調べによると、住宅をリフォームした後で購入したテレビサイズについて、40%の購入者が「もう少し大きいテレビを購入してもよかったと思う」と回答。20%が「もう少し大きいテレビを購入してもよかったと、やや思う」と回答しており、実に過半数が画面の大きさに不満を持っているという。
東芝では、「薄型テレビの買い換えサイクルは約5.5年。それが当てはまる2008年~2010年までの37型以上のテレビの総販売台数は1,000万台以上。約半数が50型以上を購入したいと見積もった場合には、約500万台の潜在需要がある」と試算する。
テレビメーカー各社はこれだけの潜在需要があると試算しているのだ。
ふたつめの原動力は、大画面モデルの価格が下落し、以前に比べて購入しやすい価格帯になってきたこと、狭額縁化などにより大画面でも設置しやすいモデルが増加してきたことといった、製品そのものの変化だ。
価格下落では、50型モデルでも1インチ(型)=1万円の時代を過ぎ、特価モデルを含めれば、1インチあたり5,000円を切る製品も少なくない。購入しやすい価格帯へと入ってきているのは間違いない。
また、設置のしやすさが変化したことは、大画面テレビ普及において、大きな前提となっている。パナソニックでは、「2003年の薄型テレビと比較すると、同じスペースに約10インチ大きなテレビが置けることになる。置けないと思っていたものが設置できることが大画面化を加速している」と説明する。
パナソニックの「VIERA(ビエラ)」を例にとれば、2003年モデルの42型プラズマテレビのTH-42PX20の横幅が114.0cmであったのに対して、2013年モデルの55型液晶テレビのTH-L55FT60は123.8cm。左右に4cmずつスペースがあれば、ほぼ同じスペースに10インチ大きなテレビが収まる。また、2003年に発売した32型液晶テレビのTH-32LXでは、サイドスピーカーとなっていたこともあり、横幅は100.0cm。これが2013年モデルの場合、42型のTH-42FT60の横幅が95.6cm。32型テレビが設置してあった場所に、42型がそのまま設置できるということになる。スピーカーのレイアウト変更や狭額縁化によって、これまでには成しえなかった大画面テレビの設置スペースが確保されているというわけだ。
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