PENTAX Q7はミラーレスカメラの理想形のひとつだ。その理由は、このサイズと画質の絶妙なバランス。それは本来、ミラーレス機需要の根源にもあったものだ。レンズ交換による豊富な表現力とコンデジを超える高画質を持ちながら「小さいこと」。なのに、それを満たしているミラーレス機が、現実にどれほどあるだろう。「本体に標準ズームレンズを装着して望遠ズームを一本持ったら、一眼レフのときとあまり変わらない荷物になっちゃった」では、ミラーレス機にする意義はあまりない。
特に問題になるのはレンズの大きさだ。いくらボディを小さくしても、レンズがひとまわりふたまわり小さくなった程度では、機材一式を考えると小型化の恩恵は薄い。重量面でのメリットはあるが、カメラ用のショルダーバッグがひとつ必要になってしまうことに変わりはない。その点、「Q」シリーズは同じ装備がリュックの空きスペースに収まる。交換レンズは、望遠でもズボンのポケットにさえ入ってしまうのだ。
しかも、このレンズも「小径であること=光学的な不利」を感じさせない描写力だ。冒頭にも書いたとおり、今回はQマウントレンズをフルセットでお借りすることができた。Qマウントのレンズシリーズには、大きく分けて2種類のレンズがある。「01 STANDARD PRIME」(Q7装着時39mm相当 F1.9)、「02 STANDARD ZOOM」(Q7装着時23-69mm相当 F2.8-4.5)、「06 TELEPHOTO ZOOM」(Q7装着時29-207mm相当 F2.8)という、レンズシャッターを内蔵した常用系の単焦点とズームレンズ。各換算焦点距離と開放F値を見ただけでも、その素晴らしさが十分予想できるだろう。Q7を買うなら、ぜひ一緒に揃えておきたい3本だ。
そしてもうひとつは、レンズシャッターを持たないトイレンズ系の「03 FISH EYE」(Q7装着時16.5mm相当 F5.6)、「04 TOY LENS WIDE」(Q7装着時33mm相当 F7.1)、「05 TOY LENS TELE PHOTO」(Q7装着時94mm相当 F8)、「07 MOUNT SHIELD LENS」(Q7装着時53mm相当 F9)だ。前者はAFに対応、マウント部は金属製。後者はMFのみでF値も固定、マウント部はプラスチック製である。
こう書くと、トイ系レンズは「本当に写るのか?」とか「いや、逆にどんな画になるのか楽しみ!」などと思われるだろう。私もそう思った。ところが実際に使ってみると、思ったよりはるかに普通の写りで、MFで暗くて不便なだけ、という気がしないでもない。Q7は、スマートエフェクトとして「Auto110モード」や「クロスプロセス」、デジタルフィルタとして「トイカメラ」などの機能を持っており、これらの機能を使用した方が手軽かつ明確に「期待通りの効果」が現れる。
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