山形カシオの「Logosease(ロゴシーズ) LGS-RG004」は、超音波を利用したスクーバダイビング向けの水中トランシーバーだ。空気を吸うレギュレーターをくわえたまま、水中でも音声会話できる点が最大の特徴。そんなロゴシーズを、ダイビング初体験の筆者が体験してきた!

近年は、レジャーや趣味としてのダイビングがじわりと人気を高めており、お手軽な体験スクールなども好評だ。そうした"入り口"を体験した人が、本格的に始めるケースも増えているという。ダイビングといえば沖縄近海や小笠原諸島などが有名どころだが、日本列島の沿岸なら潜れる場所は多い(北関東から東北、北海道、瀬戸内海、四国の一部を除く)。

「LGS-RG004」
(マットブラック)

「LGS-RG004」
(マットイエロー)

こんなに小型

そこで今回のお題目となるロゴシーズ。マイナビニュースでも2013年1月17日のニュース記事で取り上げており、ダイビングとはまったく縁がない筆者も、1つのガジェットとしておもしろそうな製品だな~と思っていた。詳しい経緯は省くが、そんな筆者がナゼかロゴシーズを体験することになったのだ。

ド素人の筆者を懇切丁寧に指導してくれたのは、ダイビングスクールの山形マリン企画でインストラクターを務める沼澤氏。また、山形カシオでロゴシーズを担当している皆さんには、ロゴシーズの使い方をみっちりとレクチャーしてもらった。

いきなり海に潜るのは正直無理なので、今回は山形カシオが利用する実験用プールで体験してきた。だいたい5m四方という比較的小さなプールだが、ポイント(?)は深さも5mであること。上からのぞき込むとけっこう怖かったりする。

山形カシオが利用する実験用プール

インストラクターの沼澤氏から指導を受ける

いざ水中へ

ダイビングスーツを着込んで圧縮空気ボンベを背負い、水中マスクを装着。ごくごく基本的なダイビングのイロハを沼澤氏に教わり、レギュレーターをくわえて恐る恐るプールの中へ(この段階では、まだロゴシーズは身に付けていない)。水中でうまく呼吸できるまでにそれなりの練習が必要だったり、圧縮空気ボンベの重みでプールの水中であおむけに転がってパニック寸前になったりしながらも、なんとか水の中を動き回れるように。

プールの浅い場所に設けられた足場で固まる筆者

プール内の壁にある取っ手からもなかなか手が離せない…。でも耳抜きはすぐできた

いったんプールから上がり、沼澤氏から水中でのアドバイスをもらいつつ、いよいよロゴシーズを体験する。ロゴシーズの本体サイズ/重量はW89×D41×44.8Hmm/107gと、とても軽量コンパクトだ。本体のフック部分を、水中マスクのマスクストラップにひっかけて装着する。ガッチリ固定されるため、水中で外れる心配はない。マイクとスピーカーは骨伝導方式を採用しており、耳たぶのちょっと顔よりの"骨"にフィットするようにあてがう。

ロゴシーズを装着してダイブ!

ロゴシーズは「トランシーバー」なので、受信モードと送信モードがあり、電話のような同時双方向の会話はできない。ロゴシーズ本体を指で軽くたたくとモードが切り替わり、「ピ・ポッ」(受信→送信)、「ピ・ポポポッ」(送信→受信)という音で知らせてくれる。また、受信モードでは本体のLEDが黄色く点滅するので(送信モードではピンクで点灯)、周りの人からも相手のロゴシーズのモードが分かるようになっている。余談だが、自分が話し始めるときは「了解」、話し終わったら「どうぞ」という、無線交信の基本も忘れないように。

ロゴシーズの上部LEDで、受信モードなのか送信モードなのかが分かる

音声の送受信には、32KHz帯の超音波を使っている。超音波は直進性が高く、ロゴシーズ前面の丸いアンテナが送受信を行っているため、会話する相手と正面で向き合う位置関係がもっとも感度が高い。見通しが良く好条件の海中なら、だいたい数十メートルは音声が届くそうだ(水温や水圧、潮の流れにも影響を受ける)。

また、ロゴシーズは水深55mの防水性能を備え、潜水40mまでのレジャーダイビング向けとなっている。電源は内蔵バッテリで、連続使用時間は約3時間だ。充電は付属の充電スタンドを使う。通常のレジャーダイビングでは、1本の圧縮空気ボンベを背負って潜水し、水中にいる時間は30分~60分くらいとされている。これを考えると、連続約3時間というのは必要十分なスペックだろう。

水中で会話ができると、ものすごく安心

実際の水中会話だが、レギュレーターをくわえたままハッキリと発音するのは、なかなか難しかった。試しに、人さし指を口に当てて、上下の歯で軽くかみながら話してみてほしい。感覚的にはそのようなイメージだ。最初はかなり苦戦したものの、チュートリアルの会話集を見ながら、一語一語をゆっくりと、できるだけハッキリと発音するようにしていたら、徐々に上達のきざしが。

練習用の会話集で読み合わせ。用紙はもちろんラミネート加工済み。こういう向かい合う位置取りが、もっとも明瞭に会話できる

やはり何ごとも慣れと経験は重要。ロゴシーズのモード切替、相手が話す音声の聞き取り、自分からの発声でコツがつかめてくると、かなりスムーズに水中会話できるようになった。ついでに呼吸と動き方にも慣れたことで、水の中がすごく楽しくなった。

これまでも水中トランシーバーは存在していたが、基本的には水中調査やプロのダイバーが使う業務用の機材だ。価格も数十万円から100万円オーバーと、アマチュアが手軽に購入できるものではないし、本体サイズも大きいので扱いにくい。ロゴシーズのメーカー希望小売価格は62,790円(税込み)で決して安くはないが、幅広いダイバー層に対して水中トランシーバー/水中会話を身近にした意義は大きく、本体が小型軽量なのも大きなポイントだ。

後半には余裕も

今回の体験で強く思ったのは、水の中で会話できることが、どれだけの安心感と落ち着きを生むかということ(ダイビングに慣れた人は、ハンドシグナルでほぼすべての意思疎通ができるというが、その域に達するのは大変だ)。

インストラクターの沼澤氏にも、まず「水の中ではとにかく落ち着く、パニックにならない」と指導を受けたので、ロゴシーズの存在はとてもありがたかった。これは素人考えだが、ダイビング必須装備の次にそろえるアイテムの1つになったり、体験ダイビングの装備に含まれるようになったりすると、ダイビングの間口が広がるのではないだろうか。

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