体を動かしたり頭を使ったりすれば腹が減る。これは人間もコンピュータも同じで、何かの処理をした分だけバッテリに蓄えられた電力を消費するのは仕方ない。しかし、生きるためには寝ている間もエネルギーを使い続ける人間とは異なり、コンピュータの場合、何も仕事をしないときは電源を切ってしまえばいい。
例えばWebサイトにアクセスするとき、読み込みが終わってページの表示が完了すると、次にユーザーが画面をスクロールさせたり、次のページに移動したりするまで、PCはただ指示を待っているだけで何もしていない(他の処理を同時に行っていない限り)。メールを作成しているとき、ユーザーが次に何を書こうかと思案しているときなども同じだ。そのような、いわゆる"アイドリング状態"のときにプロセッサを休ませることで、消費電力を減らすことができる。
アイドリングストップだけでバッテリ駆動時間が何割も延びるのか、と思われるかもしれないが、「何百万分の1秒」以下の極めて短い時間刻みで動いているPCの世界では、よほどの複雑な処理を行わない限り、何も仕事をしていない時間は多い。0コンマ何秒のわずかな休み時間も、積み重ねていけばかなりの消費電力削減につながるというわけだ。
もちろん、仕事が少ないときに消費電力を減らす仕組みはこれまでのPCでも採用されていたが、第4世代Coreプロセッサではアイドリング時、プロセッサ上のより多くの部分の電力供給をオフにできるようになったため、従来よりもさらに待機時の電力を減らせるようになった。
プロセッサ全体をひとつの家に例えれば、従来は部屋を使わないときに照明だけを消していたのに対し、第4世代ではエアコンを切ってテレビも主電源からオフにして、わずかに廊下の豆電球だけ残しておくといった具合に、切れるところは徹底的にオフにするような仕組みが導入されているのだ。
ちなみに、上記でいう「アイドリングストップ」状態を「Cステート」と呼ぶ。CステートはCPUにかかる電力の状態に応じた省電力機能の1つで、例えばCPUがフルで動いているときは「C0」、Webサイトの読み込みが終わってPCが次の指示を待っている状態のときは「C1」というように、アイドル状態が続くとより深いステートに入り電力をカットしていく。
従来はC0からC7までのステートが定義されていたが、モバイル向けの第4世代Coreではさらに幅広く電源を落とすC8/C9/C10のステートが追加され、アイドリング時の消費電力をより削減している。
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