「一歩上ゆくデジカメ活用術」バックナンバー
第1回 イルミネーションを利用してボケのある夜景写真を撮る
第2回 冬の逆光を生かして印象的なスナップショットを撮る
第3回 水族館の生き物たちを幻想的なイメージで撮る
第4回 夜空に浮かび上がる満天の星を撮る

単焦点レンズは、開放値が明るくボケを表現しやすいことや、レンズが小型軽量にまとまっていることがメリットです。今回は数ある単焦点レンズの中でも、基本の1本ともいえる焦点距離50mmのレンズを使用し、表情重視でポートレートを撮ってみましょう。

絞り優先AE(F1.2 1/5000秒) 露出補正:+0.7 感度:ISO50 WB:太陽光 焦点距離:50mm カメラ:EOS 5D Mark III(写真をクリックすると拡大します)

ポートレート撮影で最も大切なことは、どんな表情を捉えるかということ。仮に構図や露出、ピントが狙い通りに決まっても、肝心の人物がさえない表情なら、ポートレート写真としての魅力はありません。逆にいうと、いい表情さえ撮ることができれば、構図が平凡でも、露出がおかしくても、多少ピンぼけであっても構わない、というくらいの気持ちで私はいつも撮影しています。

では、どんな表情を狙ったらいいのでしょうか。写真に撮れらる際に、誰もが最もよくする表情は「笑顔」です。カメラを向けられると反射的に笑顔になる人も多いでしょう。写真を見る人にとっても、不機嫌な顔よりも、笑顔のほうが気持ちよく感じるはずです。ただ、ご存じのように、カメラの前で見せる大人の笑顔は、心から笑っているわけではありません。

作り笑顔の写真は、一見なごやかな雰囲気があり、普通の記念写真であればそれで十分かもしれません。しかし、そこにポートレート写真としての深みや面白みはありません。表面的な笑顔のベールを取り去ることがポートレートの第一歩です。

絞り優先AE(F1.2 1/320秒) 露出補正:+0.3 感度:ISO50 WB:太陽光 焦点距離:50mm カメラ:EOS 5D Mark III(写真をクリックすると拡大します)

といっても、いきなり「笑わないで」と言って撮影すると、撮られる相手は戸惑うでしょう。なので筆者の場合、最初のうちは撮影者側から特に注文は出さず、相手に自由にふるまってもらい、その中で表情を探すようにしています。特に初対面の人の場合は、はじめは笑顔ばかりになりがちですが、徐々に笑顔以外の表情を引き出していきます。

絞り優先AE(F1.2 1/125秒) 露出補正:+3 感度:ISO400 WB:太陽光 焦点距離:50mm カメラ:EOS 5D Mark III(写真をクリックすると拡大します)

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