約40分間、会場を盛り上げ続けたDJ'TEKINA//SOMETHINGに続いて登場したのは「かめりあ」。今年二十歳を迎えるという若き天才ボカロPだ。
DJとしての彼の力量を感じたのは、なんといってもそのアレンジ。一曲目の「カゲロウデイズ」からして、「んっ、何だこれ!?」と驚いてしまう強烈なサウンドである。動画内でのコメントによると、このサウンドは「グリッチホップ」という近年確立されたジャンルらしい。さすがはテクノからドラムンベース、メタルまであらゆるジャンルをこなす天才アレンジャー。こうして新しい音に出会えるのもボカニコナイトの醍醐味だ。
その後は「Splatter Party」「流星群」「夕焼け缶詰」「システマティック・ラヴ」と、バラエティに富んだラインナップをきっちりかめりあサウンドにして披露。見事なDJっぷりだった。
3人目は「きくお」。独自の世界観に熱狂するファンも多いボカロPだ。彼の作風は幅広く、どこか狂気を感じる音の作り方がたまらない。もともとサウンドクリエイターとして活動しているので、要するにプロなのだが、そういうプロアマの垣根を取っ払って楽しめるのがボカニコナイト、そしてニコニコ動画の長所である。
そんなきくおは「月の妖怪」「塵塵呪詛」といった独特の世界観を持つ楽曲を浮遊感あるサウンドで表現。「てんしょう しょうてんしょう」や「ごめんね ごめんね」「物をぱらぱら壊す」など、ひと味違った楽曲の数々が、イベントの良いスパイスとして機能していた。
ラストにはフジテレビ公式で制作したという「ハレルヤ・スーパーアイドル ♪杏梨ルネ」という意外な選曲も。いい意味で予想を裏切られる展開に会場も大盛り上がりとなっていた。
そして最後に登場したのが八王子Pだ。DJ'TEKINA//SOMETHINGと同じくメジャーデビューを果たしており、今回はメジャー2枚目のアルバム「ViViD WAVE」を引っさげての参戦となる。
彼のサウンドの特徴は、聴きやすく耳になじむテクノサウンド。ボカニコナイトにおいてもそんな八王子Pらしさがしっかりと表れており、「fake doll」「KiLLER LADY」といった人気のオリジナル曲を気持ちのいいアレンジで聞かせてくれた。
また、ニューアルバムからも「GAME OVER」など数曲を披露。ラストは定番となった「エレクトリック・ラブ」で締め……と思わせておいて、DJ'TEKINA//SOMETHINGを会場に呼び出し、この日のために作ったというコラボ曲「Dream Your Night」でプレイベントの幕を引いた。
終わりがあっさり目に感じたのは、8月16日に新木場StudioCoastで開催される「VocaNicoNight4 -SummerParty2013-」へのつなぎだから……というのは考えすぎだろうか。ともあれ、これまでのボカニコナイト同様、期待通り、いやそれ以上に盛り上がったプレイベントであった。
なお、8月16日の「VocaNicoNight4」はなんと入場無料。優先入場のためには応募フォームから応募が必要で、現在二次募集を実施している。詳細は、同イベントの公式サイトまで。