最近のボーズのコンパクトなスピーカーというと、SoundDockシリーズを頂点に、人によっては、やや過剰とも思わせるほどの低域再生能力の高さを特徴としたモデルが多い。SoundLink Miniも、このようなサイズでありながら低域再生能力は高い。

手持ちのBluetoothスピーカー(クリエイティブメディアのD80)と比較しても、サイズでは圧倒的に小さいSoundLink Miniのほうが、特に中低域のドライブ感の高いサウンドを実現しているように感じられる。ただし、SoundDockシリーズよりも、重さ、硬さは抑えられているようで、長時間聞いていても疲れないサウンドだといえるだろう。

スピーカーユニットやキャビネットのサイズから来るものだろうが、指向性は非常に弱い。左右方向だけでなく上下方向においても同様だ。スピーカーを部屋のどこに置いても、そのサウンドバランスに大きな変化はない。

音場の広がり、音の定位については、このサイズなのでやはり限界はある。前面に正対して聴いた場合、多少の広がりは感じられるが、その範囲はやや狭い。

さて、SoundLink Miniのサウンドで気付いた点がある。それは、設置面の影響をあまり受けない、という点だ。スピーカーをフローリングの床や表面加工されたテーブルの上などに設置すると、どうしてもその反射の影響を受け、ブーミーなサウンドになりやすい。ところが、SoundLink Miniでは、どこに設置しても大体同じようなサウンドだ。SoundLink Miniの底面には、一面にゴム状の板が取り付けてある。これがインシュレーター的な役目を果たしているのではないだろうか。また、持ち運んでで使用する場合、スピーカーの設置面や設置する環境を選べないことが多い。そういった、スピーカーにとっては不利な環境で、満足のいくサウンドを実現するたの設計が行われているのではないかとも考えられる。

底面には、一面にゴム状の板が取り付けてある

バランスのよい"ポータブル"スピーカー

6月6日に行われたイベント「Bose IMPACT 2013」の会場では、プレゼンでボーズの担当者が「もう、大きいスピーカーは必要ない」と述べていた。もちろん、これは、サイズの大きいスピーカーよりもSoundLink Miniのサウンドが優れているという直接的な意味ではないのだろう。実際のところ。当のボーズの製品でも、SoundLinl Miniよりもサイズが大きくて、しかも音のよいスピーカーはいくらでも存在している。

しかし、持ち運びするBluetoothスピーカーということを条件に加えると、SoundLink Miniの音質とポータビリティとのバランスは、非常に優れている。そういった条件の下では、「これ以上に大きいサイズのスピーカーは不要だ」という言葉は、決して誇大な表現ではないといえるだろう。