改善ポイントが豊富な「Internet Explorer 11」

Windows 8.1プレビューには、次期メインWebブラウザーとなるInternet Explorer 11プレビュー(以下、IE 11)が搭載されました。そもそもWindows OSとInternet Explorerは開発チームが異なるため、情報共有をしながらも独立独歩で開発されてきたのは、Windows OSとInternet Explorerのリリースタイミングを見ても明らかです。

しかし、前バージョンであるInternet Explorer 10(以下、IE10)は、それまでとは異なり、Windows 8と同時リリースし、他のWindows OSは後日リリースされています。推測の域を超えませんが、IE 11のリリースタイミングは、同10と同様にWindows 8.1と同じタイミングが選択されるでしょう(図10)。

図10 Windows 8.1プレビューに搭載された、Internet Explorer 11プレビュー

その新しいIE 11プレビューの新機能ですが、核となる新技術だけでなく、操作性の改善や開発ツールの強化など多岐にわたります。各機能を紹介するにあたり、まずはWindowsストアアプリ版IE 11を起動してみましょう。任意のWebサイトを開き、リンクを長押しするとアプリバーが開き、マウス操作時はコンテキストメニューが開きます(図11~12)。

図11 Windowsストアアプリ版IE 11でリンクを長押しした状態。アプリバーに各種操作を実行するボタンが並びます

図12 マウス操作の場合は、コンテキストメニューが表示されます

この状態で<新しいウィンドウで開く>ボタン(<リンクを新しいウィンドウで開く>)をクリック/タップしますと、Windowsストアアプリ版IE 11が左右に並ぶ仕組みが用意されました。それぞれ異なるWebページを同時に閲覧できますので、場面に応じたWebブラウジングが可能です。画面を見るとわかるように、本機能はWindows 8.1のスナップを利用していますので、区切り線を左右にドラッグすれば、表示領域のバランスを調整できます。解像度の高いディスプレイをお使いの場合は、さらにWindowsストアアプリを表示させることも可能でしょう(図13)。

図13 <新しいウィンドウで開く>ボタンや<リンクを新しいウィンドウで開く>をクリック/タップしますと、複数のWindowsストアアプリ版IE 11を表示できます

また、Windows 8のWindowsストアアプリ版IE 10は、開けるタブが10個に制限されており、11個目のタブを開くと一番古いタブが自動的に閉じる仕組みでした。しかし、Windowsストアアプリ版IE 11は制限をなくして、いくつでもタブを開くことが可能です。もちろんハードウェアリソースによって限界はあると思いますが、Webブラウジング環境として成長したことに間違いはありません(図14)。

図14 Windowsストアアプリ版IE 11はタブの制限を廃止し、10個以上のタブを開けるようになりました

タブの位置が画面下のアプリバーにまとめられたのも変更点の一つですが、<ツール>ボタンのメニューに<ダウンロードの表示>が加わっています。Windowsストアアプリ版IE 10をお使いの方はご存じのとおり、同環境でもファイルのダウンロードは可能でしたが、新たにダウンロード履歴やダウンロードしたファイルに対する操作を行うことが可能になりました(図15~16)。

図15 下端からスワイプするかWebページの何もないところを右クリックすると現れるアプリバーの<ツール>ボタン→<ダウンロードの表示>とクリック/タップします

図16 これでダウンロードファイルの履歴や、ダウンロードしたファイルの捜査が可能になります。履歴を削除する場合は<一覧をクリア>ボタンをクリック/タップしてください

また、現在開いているタブを同じMicrosoftアカウントを利用しているデバイスで同期することが可能です。複数のタブを開いた状態で<タブツール>ボタンをクリック/タップしますと、タブ同期を実行するための項目が現れるはずですが……筆者の環境では確認することができませんでした。事前情報やMicrosoftの技術資料「Windows integration」を読みますと、<Show Synced tabs>という項目が現れるそうです(図17)。

図17 IE 11には、タブ同期機能が搭載されているはずですが、<タブツール>ボタンをクリック/タップで開いても、対応する項目は確認できませんでした

そもそも同機能はWindows 8.1対応デバイスを切り替えて利用するシーンを想定した設計がなされており、デバイス終了時にInPrivateブラウズタブ以外の開いているタブ情報をSkyDriveサーバーにアップロードします。続いて対応するデバイスがオンラインになった際は、SkyDrive経由でデータをダウンロードし、タブの閲覧状態を復元するという仕組み。

なお、前述の技術資料によりますと、各種同期データは、SkyDrive上では非表示扱いとなるそうです。タブ同期など閲覧環境の切り替えは、他のタブレット向けOSでも実装している機能ですので、RTM版では間違いなく搭載してくるでしょう。

また、IE 11に加わった新機能として、Windowsストアアプリ版IE 11でピン留めしたWebサイトがライブタイル表示に対応しました。ただし、これはWebサイト側の設定が必要となります。タイルに用いる各画像や一定間隔でポーリングするXMLファイル、メタデータ値を格納するXMLファイルを、HTML内で指定したWebサイトでは、コンテンツの提供や通知を行うことが可能になるとのこと。執筆時点では対応するWebページが存在しないため、本機能の詳細は後日ご報告することにしましょう。

さて、IE 11に関する変更点は、まだまだ語り尽くせません。しかし、誌面が尽きてきましたので、続きはまた次回ご紹介することにします。ご興味をお持ちの方は引き続きご覧ください。

阿久津良和(Cactus