TIS、日本アイ・ビー・エム、ソフトバンクモバイルの3社は2013年6月6日、「モバイル活用の次の一手 ~スマート・デバイス活用実践セミナー~」と題したユーザー企業向けのセミナーを開催した。
スマートフォンやタブレットを社員に配布し、ビジネスの生産性を向上させようと目論む企業は多い。しかし、デバイスを貸与しただけでビジネスが加速するかと言えば、もちろんそのはずはない。結局、メールやスケジュール管理のみにしか利用できず、ほんとうに"活用"するためには何をすればよいのかわからないという声もよく聞かれる。
同セミナーでは、3社が保有する技術やノウハウ、ユーザー事例などを基に、スマートデバイスの実践的な活用方法やモバイルを中心にした現代ビジネスのあり方、ビジネスを支えるモバイルアプリケーション基盤のポイントなどについて紹介された。本稿では、その一部を紹介しよう。
数々の事例からスマートデバイス活用のヒントを得る
ソフトバンクモバイル 芦澤信広氏 |
最初に登壇したのは、ソフトバンクモバイルの営業第三統括 プロダクト統括部 クラウド推進課の芦澤信広氏だ。芦澤氏は「ビジネスに使える! iPad活用ケーススタディ」と題し、数々の活用事例からiPadをビジネスに取り込むポイントについて語った。
iPadは発売以来、国内でも、金融・メディア・小売・メーカーなど、さまざまな分野の企業がビジネスに役立てている。芦澤氏は、iPadを「企業の目的に合わせてさまざまな使い方を可能にする、最強の業務ツール」と誇る。
建材メーカーのLIXILでは、営業担当約7,500名にiPadを配布し、大量のカタログを持ち運ぶことができるようにした。象印マホービンでは、営業担当が動画を使った効果的なプレゼンテーションを実践している。両社とも、豊富な資料やWeb検索機能のおかげで、商談時の提案や質問への回答を的確に行えるようになったという。
ラコステブランドを展開しているファブリカでは、iPadによるビデオ会議を活用し、店舗のレイアウト映像をリアルタイムに共有して、リモートから的確な指示を出せるようにした。全日本空輸では、重さ2.1キログラム、1,000ページにもなる乗務マニュアルをiPadに収め、eラーニングを活用して客室乗務員やパイロットのスキルアップを図っている。
建設機械のレンタル事業を展開しているニッパンレンタルは、3,000種類・1万7,000台もの機械を基幹システム(IBM AS/400)で管理している。商談の際には、在庫や稼働状況を管理するためにノートブックPCを用いていたが、重くてバッテリーの持ちが悪いといった問題があった。そこでiPadを採用し、LANSA aXesモバイルを活用して、PCと同等の操作で在庫照会を行えるようにした。
建材を扱う三和シヤッターや住宅メーカーのミサワホームは、営業力の強化や業務の効率化を図るために、専用のアプリを開発した。建材のシミュレーションアプリやモデルルームの擬似体感アプリなど、ことばや写真では伝わりにくい資料をアプリ化することで、提案が魅力的になったという。
芦澤氏は、メールやカタログ、eラーニングなどの基本的な部分からiPadの活用を始め、後に業務システムやDaaSなどの社内システムと連携する部分への活用を図るステップ・バイ・ステップによる導入が望ましいと述べた。また、ソフトバンクテレコムが提供する提案や研修などのサービスを提供するスマートデバイス導入支援プログラムによって、積極的なモバイル活用を支援したいと語った。