完成当時の羽田空港・国際線ターミナル。品川や浜松町からなら電車で最短10数分

2010年10月に新しい滑走路と新国際線ターミナルビルの供用が始まり、本格的な再国際化を果たした羽田空港。2013年6月現在、19のエアラインが乗り入れている。そうなると、羽田空港と成田空港をどう使い分けるのか悩ましい。そこで、両空港事情と活用方法を考えてみた。

来春、羽田発着便が倍増

まず、羽田の現状をまとめたい。羽田は行き先も直行便だけでソウル、台北、香港、北京、上海、デンパサール(バリ島)、シンガポール、バンコク、クアラルンプール、ホノルル(ハワイ)、ロサンゼルス、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトル、ニューヨーク、ロンドン、パリ、フランクフルト、ドバイの18都市に就航している。いつの間にかアジア・アメリカ・ヨーロッパの人気都市や乗り継ぎ拠点を網羅している印象だ。しかも、デルタ航空のシアトル直行便、エミレーツ航空のドバイ直行便と、ここ最近も新就航が相次いでいる。

さらに、である。2014年3月末からは、羽田便の国際線の発着枠が1日42便(84発着)分も増やされる。これは現在の2倍のキャパシティに当たる。つまり、来春からは行き先や便数が倍増するのだ。

東京都心から近く地方からの乗り継ぎ便も多い羽田は、便利なだけでなくエアラインにとって“おいしい”空港でもある。確実にリピートしてくれて、上級クラスの利用率も高いビジネスパーソンが多く乗るからだ。羽田の発着枠は、いまやエアラインによる取り合いの様相を呈している。

昼便が増え、ベトナム直行便も就航へ

羽田便は中国・韓国・台湾行きを除くと深夜・早朝発着のみだが、来春から増える発着枠分は6時から23時までの「昼便」にあてられる。現在、乗り入れ認可のための政府間交渉が続けられているが、2013年6月20日時点で、既にシンガポール、タイ、中国、ドイツ、イギリス、フランス、そして現在は羽田からの直行便がないベトナムへの運航が可能になっている。

席の埋まらない成田は捨てられる!?

一方の成田は複雑な状況を迎えている。羽田が再国際化する前は発着枠の取り合い状態だったのだが、ロンドン便を運航するヴァージン アトランティック航空のように、成田便を止めて羽田便への切り替えを発表するエアラインが出てきたのだ。将来、羽田便の発着枠が更に増えることになれば、こうしたエアラインがもっと出てくるだろう。

また、シンガポールへの直行便を運航するシンガポール航空や香港への直行便を運航するキャセイパシフィック航空(以下、キャセイ)など、羽田と成田の両空港からの便を運航するエアラインでは、「羽田便の方が席が埋まりやすい」(航空業関係者)状況が続いている。最近はエアラインのウェブサイトで予約状況を検索できるので試しにやってみるといいが、羽田便は満席でも成田便は空きがある、そんな日が明らかに多い。

成田空港は免税品店が豊富という魅力も

発着時間で両空港を使い分け

では、旅行者にとって成田は使えない空港になったのかと言えば、そんなことはない。全体的に首都圏発着の国際線は増えているわけだから、上手に使いこなせばいいのだ。特に、行きと帰りで両空港を使い分ける方法はおすすめだ。