―― 実際に「HELLO KITTY × カシオアート」をご覧になった印象はいかがでしたか?
吉澤氏「非常に素晴らしいクオリティですよね。弊社で制作したイラストの一部を作品に応用されていたのですが、立体で精巧に再現されているので驚きました。社内でも評判がよかったですし、特に3Dレリーフ作品は3代目ハローキティデザイナーの山口裕子も絶賛しています」
―― 2次元のイラストをベースに3次元化(立体化)されたことで、ある種の世界観が加わった印象もありますよね。
吉澤氏「画材のタッチもそのまま表現されていますし、細かい部分の凹凸までよく表現されています。3Dプリンタなどを利用していると聞いて、まさに今の時代のものだなと思いました」
―― 店頭ではどのように展開されていきたいですか?
吉澤氏「それはこれからですね。お客さまのご意見もうかがって、カシオさんにもお伝えしていければと思います。キティを絵画のモチーフにしていただいたことで、お客さまには『アート』をより身近に感じていただけそうですし、新たな展開に期待しているところです」
―― 先ほどギフトのお話が出ましたが、これだけしっかりした作りならギフトにもよさそうですよね。
吉澤氏「そうですね。30代~40代の働く女性でキティファンの方であれば、『自分へのご褒美』としてご購入いただける方もいらっしゃるような気がします。インテリアのアイテムになる製品はサンリオでも数が少ないのですが、逆にこうした本格的な絵画が3万~5万で買えるのであれば素敵ですよね」
他社にもキャラクターの門戸を開放するサンリオ。ただし監修はしっかり
―― 本当ですね。それに、キャラクターグッズといえば厳しい制限がある印象でしたので、カシオさんのオリジナル作品が販売されることには驚きました。
吉澤氏「例えば他社さんのキャラクターですと、アレンジが禁止されている場合が多いのですが、サンリオの場合は真逆ですね。キャラクターのアレンジも、描き起こし作品を作っていただくことも、まったく問題ありません。
ただ、その代わりに監修チェックだけしっかりさせていただくんです。ちなみにカシオさんオリジナルデザインの『HELLO KITTY × カシオアート」ですと、当初はキティのボディバランスが違っていました。ですから、弊社の担当デザイナーが、足の太さやバランス、比率、ヒゲの雰囲気や線の太さまでチェックをした上で、ご修正していただきました。2~3回は修正をお願いしたかと思います。
また『おでかけ前のハローキティ』では、ハローキティの世界観をタイトルに沿ってよりよく表現していただくために、左下のテーブルにある小物などの変更もお願いしましたね」
―― そんな裏話があったんですね!
吉澤氏「ええ(笑)。また、カシオさんのオリジナルデザインは、実はもっとたくさんの案をいただいていたんです。ハローキティの世界観を基準として判断させていただき、その結果残ったのがこの3作品というわけです」
―― そこまで厳しかったとは…。そういえば、今回は1点だけ「パティ&ジミー」が入っていますよね。もし、他のキャラクターでおすすめがあるとすれば何でしょうか」
吉澤氏「基本はカシオさんにおまかせですが、ハローキティの次に人気があるのはマイメロディですね。あるいはオールキャラなんかも面白そうですね」
―― 今後の「カシオアート」に期待することはなんでしょうか。
吉澤氏「まずは、西銀座での販売を成功させたいですね。その後は、ある程度の面積があって幅広い年齢層のお客さまに来ていただける店舗、そして取り扱う店舗を広げていければと思います。やはり、カシオアートは実物を見ないと分からない部分が多いですよね」
―― ファンの方には、作品をどんな風に楽しんでいただきたいですか?
吉澤氏「キティは口を描いていないので、見る人や時間によってさまざまな表情で語りかけてくれる、そこが好きとファンの方はよくおっしゃいます。この『絵』がそばにあれば、いつでもその嬉しさを感じたり、ご自身の想いの中でさまざまに楽しんだりしていただけるのではないかと思います」
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