ElitePad 900が発表された当初から、キーボードジャケットの提供は予告されていた。Windows 8タブレットのElitePad 900をクラムシェル型ノートPCと同じように使えるオプションとして、エンドユーザーの目線ではもっとも注目を集めていたオプションといっても過言ではない。ほかのオプション類と比べて遅れていたキーボードジャケットだが、晴れて提供開始となっている。
キーボードジャケットは、その名の通りキーボード部分とジャケット部分で構成され、ジャケット部分にElitePad 900本体を装着して使う。ElitePad 900本体の取り付けが意外と面倒で、ジャケット上部のラバーフレームを指で外側に押しだしながら、ElitePad 900をはめ込むイメージだ(取り外しも同様)。堅牢性も考えた構造だとは思うが、もう少しスマートに着脱できる仕組みにして欲しかった。
キーボード部分には3つの「溝(みぞ)」があり、ElitePad 900を装着したジャケット部分の下部を、この溝に引っかけて固定する。3つの溝で3段階の角度調整が可能だ。また、ElitePad 900をキーボードジャケットに装着した状態でも、本体上部の電源ボタンとマイク入力/ヘッドフォン出力コンボポート、背面の800万画素WebカメラとLEDフラッシュ、液晶画面のWindowsボタンはきちんと使える。キーボードジャケット背面には、充電用の電源コネクタ、USB 2.0×2ポート、SDメモリーカードスロットが用意されている。
肝心のキーボードだが、日本語配列、キーピッチは約17.6mm、キーストロークは約1.8mmだ。スペースキーを長めに取っているぶん、最下段のキーピッチが短くなっているが、それほど大きな影響はないだろう。
キーピッチには慣れが必要としても、ストロークが約1.8mmとは思えない「打鍵感」がある。適度な押下圧と跳ね返りがあって、きちんとタイプしている感覚が得られ、かなりいい感じだ。キーボードはユーザー各人の好みが大きいところだが、ElitePad 900用キーボードジャケットのキーボード部分は、個人的には十分に満足できるものだった。
惜しむらくは、キーボードジャケットの直販価格が25,200円と高価な点と、重量が約850gと重たい点だ。ElitePad 900本体の重量が約630gなので(モデルや構成によって異なる場合がある)、キーボードジャケットを合わせると約1.48gとなり、携帯性がスポイルされるのは否めない。
ただ、もともとElitePad 900は本体だけで完結できるビジネス向けのWindows 8タブレットであり、米軍調達基準を満たす堅牢性や、長時間のバッテリ駆動時間(公称値で10時間~12.7時間程度)などがウリだ。そして今回のキーボードジャケットのように、用途に応じて選べる豊富なオプション類も、ほかのWindows 8タブレットにはない大きな特徴である。仮に個人で購入するとしたら、自分の使い方と必要なオプション類の追加、自分視点のコストパフォーマンス判断が重要だ。どんな製品にも言えることだが、この辺りに納得できるなら、実用性に富んだWindows 8タブレットとして満足できることだろう。