ただし、iOS 7に関してユーザーインターフェイス以外の変化がどのようになるかは情報が少ないうえに、予想も難しい。1つ出ているのは、Ive氏がトップダウンでiOSのブラッシュアップを担当して全面的なUIの見直しを行っていることで開発状況が厳しく、初代iPhoneのOS開発以来の大量の人員投入が行われているという話だ。予想の範囲だが、ソフトウェア部分で新機能を大きく盛り込む余裕は少ないと思われ、あくまで使い勝手や見た目での改良が中心になると考えられる。なぜ、そこまでUIの改良にこだわるのかという点だが、iOSは初代iPhoneの時代から拡張工事を繰り返してきた製品であり(当時の名称はiPhone OSだった)、UI的にも部分部分で無理が生じているという場面が見受けられる。Wall Street Journalなども指摘しているが、「Outdated (時代遅れ)」で「Inconsistencies (不整合)」といった部分が増えており、これがAppleにとってもユーザーにとってもマイナスに作用し始めていると同社では考えている。なので、いちどここで抜本からブラッシュアップしてしまういい機会だと考えるのも妥当だろう。実際、ライバルのAndroidもメジャーバージョンアップのサイクルが遅くなっており、急進的な拡張は一段落ついたと考えている"ふし"がある。

なお、iOS 7におけるUIの変化や、もし行われるとした場合の新機能の追加は、次に正式発表されるiPhoneの姿を予想する好材料となるだろう。そこでの新機能を基に、ハードウェアでの実装やユースケースが予想できるからだ。

サービス関連の発表にも注目

iOS 7での大きな機能拡張が期待できないのなら、サービス方面での大きなトピックを期待したいところだ。最大の注目は「iRadio」などの名称で呼ばれるインターネットでの音楽ストリーミングサービスで、現在ダウンロードでの音楽サービスのみを提供しているAppleが、Pandoraのようなインターネットラジオや、Spotify / Rdioといった音楽ストリーミング配信まで、同種のサブスクリプション型サービスを提供するのではないかとの予測だ。iTunes Musicは音楽業界のビジネスモデルや配信に関する在り方を大きく一変させたが、一方で盛り上がりつつある「志向の先鋭化」「ソーシャル連動」「聴き放題」といった新しいニーズには対応し切れておらず、さらなる取り組みが期待されている。iRadioというサービス形態ではないにせよ、何らかの回答を期待したい部分だ。Fortune Blogの中でPhilip Elmer-Dewitt氏はアナリストらのコメントをまとめており、iRadioが期待の大きいサービスであることを示している。

またiOS 7にも関連する部分だが、依然としてある噂が「iPhoneがおサイフケータイのようなマネーサービス機能を包含する」という話だ。以前にもレポートで簡単に紹介したが、筆者が把握している範囲でAppleが従来ながらのNFCやFeliCaライクな機能のiPhone搭載に興味を持っているという話を聞いていない。予測レベルというのであれば、つい先日に特許の出願内容が確認された「iMoney」に関する仕組みを搭載し、以前に買収したAuthenTecといった企業の指紋認証技術をiPhoneに搭載し、iOS 7の新ロック機構で保護するといったものだ。だが、モバイルマネー関連のサービスはまだもう少々時間がかかるというのが筆者の予想だ。

このほか、正式に発表されるのかは不明だが、すでにスタートしたとの報道があったAppleのiPhone中古買い取りプログラムに関する何からのアナウンスがある可能性も指摘されている。いずれにせよ、見た目の変化だけではない、iOSソフトウェアならびに新サービスの登場に期待したい。